主任、副主任にチャレンジ!役職の違い、なる方法は?

主任、副主任にチャレンジ!役職の違い、なる方法は?

保育士の役職は、主任・副主任・専門リーダー・職務分野別リーダーというふうに分かれています。キャリアアップしたい保育士がまず目標にするのは、主任・副主任のポジションでしょう。といっても、主任と副主任の違いについてあまり知らない保育士もいるようです。
ということで、今回は主任と副主任の違い、主任・副主任になる方法を解説していきます。

ちょっと複雑? 保育士の役職

保育士の役職は、およそ次の5つです。

  • 園長
  • 主任
  • 副主任
  • 専門リーダー
  • 職務分野別リーダー

それぞれの役割を一覧にしてまとめてみました。

保育士の役職 役割
園長(施設長)
  • 施設の責任者
  • 保育園の経営・マネジメントを行う
主任
  • 保育士としての経験年数がおおむね20~25年以上
  • 園長(施設長)の補佐
  • 経営事務の補助や外部との連携を担う
  • 業務全般の管理と保育士の指導も行う
副主任
  • 保育士としての経験年数がおおむね7年以上
  • 主任の補佐・新人や若手の育成
  • 職務分野別リーダーを経験している(研修修了済み)
専門リーダー
  • 保育士としての経験年数がおおむね7年以上
  • 専門分野の知識が豊富である
  • 職務分野別リーダーを経験している(研修修了済み)
職務分野別リーダー 保育士としての経験年数がおおむね3年以上
職務分野のキャリアアップ研修を修了している

2020年、保育士のキャリアアップや処遇改善のために「処遇改善等加算Ⅱ」というものが新たに設けられました。
これにより、主任保育士に加えて、副主任・専門リーダー・職務分野別リーダーなどといった役職が新しく追加されています。
そのほかにも、保育園によっては次のような役職が設置されている場合もあります。

  • 乳児リーダ
  • 幼児リーダー
  • フロアリーダー
  • クラスリーダー

このようにさまざまな役職があって混乱してしまうかもしれませんが、キャリアアップを狙うなら、まずは「主任」「副主任」を目指すのがおすすめです。

それでは、主任と副主任の違い、主任・副主任になる方法を具体的に解説していきましょう。

主任と副主任はどう違うの?

主任と副主任の違いは、主に次の5つです。

  • 役割
  • 給料
  • 経験年数
  • 副主任は処遇改善等加算Ⅱの対象
  • 主任は専任加算の対象

それぞれを詳しく見ていきましょう。

主任と副主任の違い
役割が違う!

主任と副主任とでは、果たす役割が異なっています。

役職 具体的な仕事内容
主任
  • 保育園の運営業務や園長のサポート
  • 勤務シフトの作成
  • 保育士の職員配置
  • フリー保育士として現場をサポート
  • 保育士の相談対応
  • 保護者の相談対応
  • 外部機関とのやりとり
副主任
  • 主任の補佐
  • 保育園のマネジメント業務
  • フリー保育士として現場をサポート
  • 新人や若手の育成
  • 保護者支援・子育て支援
  • クレーム対応

上記のように、主任は園長(施設長)の補佐として経営やマネジメント業務に携わりながら、保育園全般の業務を管理します。いわば、保育園全体を見守る中間管理職的なポジションです。シフト作成や保育士の指導、保護者対応なども行います。

一方、副主任は主任の補佐的なポジションです。
主任の仕事(経営やマネジメント業務)の補助や、主任だけではまかなえきれない「新人や若手の育成」を担当します。中間管理職と現場の保育士の仲介役と言えるでしょう。

主任と副主任の違い
給料が違う!

給料の額も、主任と副主任とでは違います。

役職 月収
主任
およそ39万円
副主任
およそ26~29万円

内閣府の「幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果」によると、2020年度の主任の1人当たりの平均月収は「39万7,212円」でした。
一方、副主任の平均月収は26~29万円程度です(求人サイトの調査による)。
やはり園長(施設長)の補佐的ポジションである主任の方が給料は高くなるということがわかります。
ただ、一般的な保育士の平均月収は22~23万円ですから、それと比べれば副主任の給料も高くはなっています。

主任と副主任の違い
必要な経験年数が違う!

必要とされる経験年数も、主任と副主任とでは違います。

主任保育士は保育士歴20年以上のベテラン保育士
副主任保育士は保育士歴7年以上の中堅保育士

「保育士経験○○年の保育士であること」といった決まりが主任にあるわけではありませんが、日本保育協会の「主任保育士の実態とあり方に関する調査報告書」を見ると、「主任保育士になるまでの経験年数」で特に多かった回答は、20~25年以上となっています。

  • 10~14年…14.3%
  • 20~24年…16.7%
  • 25~29年…18.9%

主任の年齢層は40~50代が中心。つまり、「保育士歴20年以上の40~50代」という「ベテラン保育士」が主任を任されることが多い、と覚えておきましょう。

一方、内閣府が発表した「処遇改善等加算Ⅱ」によると、副主任には「(保育士として)概ね7年以上の経験年数を有する」という要件が設けられています。
これについて次で詳しく見ていきます。

主任と副主任の違い
副主任は「処遇改善等加算Ⅱ」の対象になる!

副主任は「処遇改善等加算Ⅱ」の対象です。
処遇改善等加算Ⅱとは何かというと、保育士の技能・経験に応じて、追加的に人件費を加算する補助金制度です。

  • 副主任
  • 専門リーダー
  • 職務分野別リーダー

先ほど述べた新設の3つの役職(上記)を対象に補助金が支給され、さらにキャリアアップ研修が実施されます。
給料に上乗せされる補助金の額(月額)は次の通りです。

  • 副主任…4万円
  • 専門リーダー…4万円
  • 職務分野別リーダー…5000円以上

つまり副主任には月4万円が支給されます。
保育士経験が7年以上で、「まだ主任にはなれないけど、給料を上げたい」という人は、副主任を目指してみることをおすすめします。

ただ、処遇改善等加算Ⅱで補助金を受けるかどうかということは、保育園が決めることになっており、すべての保育園が補助金の申請をしているわけではありません。
また、処遇改善等加算Ⅱの補助金を保育園が受け取っていたとしても、配当や金額は保育園によって異なります。
転職の際は、補助金の申請の有無や配当金額を確認した上で転職先を決めましょう。

主任と副主任の違い
主任は専任加算の対象になる!

一方、主任保育士は「専任加算」の対象です。
専任加算とは、クラス担任ではなく「主任」という独立した役職の保育士を配置すると、その保育士を雇用する人件費を運営費に加算できる仕組みのことです。
主任保育士が保育園の運営や指導計画の立案、子育て支援などに専任できるように、国から追加補助金が支給されます。

主任になるためには?

それでは、主任保育士になる方法を解説しましょう。
これには3パターンあります。

  1. 日本保育協会が主催する「主任保育士研修会」を受講する
  2. 保育園で実施される研修を受ける
  3. 主任保育士を募集している保育園の求人に応募する

それぞれについて詳しく解説しますね。

主任保育士になる方法
日本保育協会が主催する「主任保育士研修会」を受講する

日本保育協会が主催する「主任保育士研修会」を受講すれば、キャリアアップが期待できます。
主任保育士研修会は、主任保育士や副主任保育士などを対象に実施される研修会で、保育人材の質を確保と技能の向上を目的として掲げています。
もちろん、「この研修を受けるだけで誰でも主任になれる!」というわけではありませんが、専門的な知識を身につけることができるので、主任を目指すならぜひ受講してください。

主任保育士になる方法
保育園で実施される研修を受ける

主任保育士になるための「試験」を実施している保育園もあります。
ただ、基本的には勤務年数が長く、周りの保育士からも保護者からも信頼されている保育士であれば、自然と主任に選ばれるはずです。

主任保育士になる方法
主任保育士を募集している保育園の求人に応募する

手っ取り早く、主任を募集している保育園の求人に応募するのも一つの方法です。
ただしその場合も経験と知識は必須です。まだ経験が浅い段階の人は、信頼されるリーダーを目指して、日々の保育に励んでいきましょう。

副主任になるためには?

次に副主任になる方法について解説します。
これも3パターンあります。

  1. 7年以上保育士として働いてキャリアアップ研修を受ける
  2. 保育園から指名される
  3. 副主任を募集している保育園の求人に応募する

それぞれを詳しく解説します。

副主任保育士になる方法
7年以上保育士として働いてキャリアアップ研修を受ける

「処遇改善等加算Ⅱ」の補助金を受け取るためには、キャリアアップ研修を受講しなければなりません。

キャリアアップ研修の項目

  1. 乳児保育
  2. 幼児教育
  3. 障害児保育
  4. 食育・アレルギー
  5. 保健衛生・安全対策
  6. 保護者支援・子育て支援
  7. 保育実践
  8. マネジメント

副主任の場合は「⑧マネジメント」のほか、3つ以上の分野の研修を修了する必要があります。

副主任保育士になる方法
保育園から指名される

勤務年数が長く、周りの保育士からも保護者からも信頼されている保育士であれば、自然と副主任に選ばれるでしょう。
副主任に必要な「サポート力」「中間管理職と若手をつなぐ力」「面倒見のよさ」などがあると、なお有利になると思います。

副主任保育士になる方法
副主任を募集している保育園の求人に応募する

十分な経験と知識があるなら、副主任を募集している保育園の求人に応募するのもいいでしょう。
保育園の求人の中には、副主任や主任候補を募集しているものがあります。応募条件や必須事項をチェックして、応募してみましょう。

保育士の役職を理解してキャリアプランを考えよう

主任、副主任にチャレンジ!役職の違い、なる方法は?
保育士には主任・副主任・専門リーダー・職務分野別リーダーなどの役職があります。
その中でも目指す人が多い主任と副主任とでは、役割や給料、経験年数、「どの補助金の対象か」などの違いがあります。
主任・副主任になる方法はいくつかありますが、「新しい場所で、新しい役職でスタートしたい」という場合は、主任や副主任を募集している保育園の求人に応募するのがおすすめです。
保育士の役職を理解して、キャリアアップに必要な経験を積んで、主任や副主任を目指しましょう。

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