保育園は大きく「認可」「認可外(無認可)」に分かれます。転職を考えている保育士にとって、どちらを選ぶべきでしょうか。
今回は認可保育園と認可外(無認可)保育園が働く場としてどう違うのか、そのメリットやデメリットを解説します。
この記事のもくじ
保育園は「認可」「認可外(無認可)」の2種類
保育所は、主に認可・認可外の2つに分かれています。
企業型保育園はそのうちの「認可外保育所」です。
以下、保育所の形態をまとめてみました。
認可外保育施設 | 認可保育所 |
---|---|
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認可保育園とは、児童福祉法に基づく都道府県知事の認可を受けている保育施設です。主に自治体が子どもの対象年齢や定員などの基準を定め、利用者の選考を行います。
一方、無認可は都道府県知事から認可を受けていない保育施設です。職員配置基準や設備基準などは決められているものの、認可保育園よりも基準がゆるく設置されています。保育園ならではの特色や個性が出やすい、自由度の高い保育が可能です。
認可保育園と認可外(無認可)保育園の違い
認可保育園と認可外(無認可)保育園の違いは、主に次の5つです。
- 認可保育園は「公立・私立」
認可外保育園は「私立」のみ - 設備基準
- 保育料
- 保育時間
- 補助金の有無
それぞれの違いから、認可保育園と認可外(無認可)保育園の特徴をチェックしていきましょう。
認可保育園と認可外(無認可)保育園の違い①
「公立・私立」か、「私立」のみか
認可保育園は、国から認可されて自治体が運営する「公立」と、株式会社や社会福祉法人が運営する「私立」の2つに分かれます。
これに対して、認可外保育園は、基本的に私立のみです。
認可保育園と認可外(無認可)保育園の違い②
設備基準が違う
認可保育園と認可外保育園は設置基準が若干異なります。
設置基準の項目 | 認可保育園 | 認可外保育園 |
---|---|---|
定員 | 60人以上 | 保育園による(20人程度の施設が多い) |
子どもと職員の割合 |
|
※開所時間の11時間は概ね児童福祉施設最低基準に定める数以上 |
職員の資格 | 保育士のほか、嘱託医および調理員は必置 | 保育に従事する者の概ね3分の1(保育に従事する者が2人の施設および(1における1人が配置されている時間帯にあっては 1人以上は)、保育士または看護師の資格を有する者であること |
保育室等の設備 |
|
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認可外保育園は、国が定める基準をきっちりと満たしているわけではありませんが、「認可外保育施設指導監督基準」に基づいて職員数や設備の基準を満たしています。
ただ、認可外保育園は「企業主導型保育事業」「ベビーホテル」など、施設によって特色が異なるので、定員数や資格を持った職員の数など、細かい部分は違います。
認可保育園と認可外(無認可)保育園の違い③
保育料が違う
認可保育園の保育料は、国が定めている上限額に収まる額を「自治体」が設定しています。
国や自治体から受け取った運営費でやりくりするので、保育料を自由に設定することはできません。
基本的には、保護者の所得や子どもの年齢などによって保育料が決まります。
一方、認可外保育園では保育園が自由に保育料を決めています。
認可外保育園は国から補助金を受け取っていない分、経営を安定させるために保育料を高く設定しているケースも少なくありません。
ただし、2019年10月から「幼児教育・保育の無償化」がスタートしたため、認可・認可外関わらず3~5歳、市民税非課税世帯の0~2歳児の保育料が無償になりました(上限額あり)。
そのため、保育料の差はあまりなくなっています。
認可保育園と認可外(無認可)保育園の違い④
保育時間が違う
認可保育園は、主に2つの保育時間区分に分かれています。
- 1日の最大利用時間が11時間の「保育標準時間」
- 1日の最大利用時間が8時間の「保育短時間」
認可保育園では、基本的に「保育標準時間」が多いようです。さらに1時間程度の「延長保育」も可能です。
一方、認可外保育園の保育時間は、園によって異なります。
厚生労働省の「認可外保育施設の状況」によると、認可外保育園の平日の開所時間は次の通りです。
- 事業所内保育施設…「12 時間以上~15 時間未満」が最も多く、次いで「11 時間~12 時間未満」が多い
- ベビーホテル…「12 時間以上~15 時間未満」が最も多く、次いで「24時間」が多い
認可外保育園は、24時間開園している園や、休日も開園している園など、時間に融通の利く園が多いという特徴があります。
認可保育園と認可外(無認可)保育園の違い⑤
補助金があるか、ないか
認可保育園は、国や自治体から補助金が支給されますので、それを運営費や人件費に回すことができ、安定した運営が可能です。
一方、認可外保育園は基本的に国や自治体から補助金を受け取ることはできないため、その分、保育料を高くしたり、ほかの事業での利益を運営費にあてたりして運営している園もあります。
認可保育園で働くメリットは?
認可保育園で働く場合の具体的なメリットを解説します。
認可保育園で働くメリット①
給料や福利厚生が充実している
認可保育園は国や自治体から補助金を受け取っている分、安定した運営が可能です。
そのため保育士の給料が安定していたり、福利厚生が充実していたりします。
特に、大手企業が運営している保育園の場合は、待遇が良い傾向にあります。
認可保育園で働くメリット➁
公立保育園なら公務員として働ける
認可保育園は「公立」と「私立」に分かれています。
公立の保育園は自治体が運営する施設で、そこに勤めるためには公務員試験を受ける必要があります。
もちろん公務員試験は狭き門ですし、公立の保育士は希望する保育園に行けるとは限らず、指定された保育園に配属されます。
ただ、公立の保育園なら私立よりも給料や待遇がよく、長く働き続けたい人にはおすすめです。
デメリットもある認可保育園
認可保育園には、働く人にとってデメリットになる部分もあります。
認可保育園で働くデメリット①
大手には規定やマニュアルが厳しい園も
認可保育園は都道府県知事の認可を受けた施設ですから、その分、設置基準がしっかりしているのですが、大手の認可保育園では規定やマニュアルがさらに厳しく設けられているケースも少なくありません。
認可保育園で働くデメリット➁
出勤時間が一定で融通が利かない
認可外保育園では、深夜や早朝など、シフトに融通が利くので「出勤は午後から」といった柔軟な出勤スタイルが可能ですが、認可保育園では早番、中番、遅番などの当番はあるものの、基本的に出勤時間が一定です。
「午前中に用事がある」といったときも、半休を取らなければなりません。
認可外(無認可)保育園で働くメリットは?
それでは次に、認可外保育園で働くメリットをご紹介します。
認可外(無認可)保育園で働くメリット①
園ごとに独自の特色がある
認可外保育園は、認可保育園よりも決まりごとが少なく、自由な保育が可能です。
英語に特化した保育、自由保育、自然とのふれあいを大切にする保育など、保育園ごとに特色を出すことができ、保育士としても、より自分に合ったユニークな保育が実践できるでしょう。
認可外(無認可)保育園で働くメリット➁
深夜手当がつく園も
夜間保育や24時間保育の場合、深夜手当(深夜割増賃金)がつきます。
22時~翌5時に勤務した場合は、基本給の1.25倍以上の手当をもらえます。
夜勤が多い場合は、それだけ全体の給料はアップするでしょう。
認可外(無認可)保育園で働くデメリットは……
認可外保育園にも、働く人にとってデメリットになることがあります。
認可外(無認可)保育園のデメリット①
土日休める可能性は低め
認可外保育園では、土日や祝日でも開園している園や24時間開園の園が多いので、土日休みや連休(2日連続の休み)が取れる可能性は低めです。
家族や友だちとプライベートでスケジュールを立てる場合に、なかなか予定が立てられないこともあるかもしれません。
認可外(無認可)保育園のデメリット➁
「合う・合わない」がはっきりする人も
認可外保育園は施設の特色を出しやすいので、保育士にとっては、「合う・合わない」がよりはっきりとします。「合わない」保育園に就職してしまうと、なかなかなじめず、すぐに転職してしまうことも。
見学や保育体験であらかじめ保育園の雰囲気を確認してから、転職へ踏み切るのがおすすめです。
結論! 認可にも認可外(無認可)にも違った良さがある
今回は認可保育園と認可外保育園の違いを細かく説明してきました。
都道府県知事や市区町村長からの認可の有無や、細かな設置基準などの違いはあるものの、どちらにも違った良さがあります。「認可だからいい」「認可外はよくない」ということは一概には言えません。結局、働く上で大切なのは「自分と合うかどうか」ではないでしょうか。
このほかにも、東京都には認証園、神奈川県には認定園というものがあります。別の記事で詳しく取り上げたいと思います。
それぞれの園のメリット・デメリットをよくチェックして、気になる保育園をリサーチして、自分と合うかどうか吟味してくださいね。
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