子どもたちの笑顔を増やして、主体性を育みたい ~ 元気キッズ/株式会社SHUHARI 代表 中村敏也氏

子どもたちの笑顔を増やして、主体性を育みたい ~ 元気キッズ/株式会社SHUHARI 代表 中村敏也氏インタビュー

「笑顔が笑顔を生む循環」のために

株式会社SHUHARI 代表 中村敏也氏インタビュー

保育ネクスト

そういった支援が必要なお子さんがいるわけですね。

発達支援にはいろいろな形がありますが、僕らはお預かりして、給食を食べて、普通に保育園のような形でやっています。
これまで、そういう場所は少なかったんですね。
児童発達支援事業所を始めたのは12月だったのですが、お母さんたちにチラシを配ったら、「クリスマスプレゼントかと思った」と号泣したお母さんがいました。分かってくれる人がいなかったそうです。
こういう施設はなかなかありません。社会的支援がない中で、僕らは保育園出身だし、やっちゃおうという感じで始めました。

保育ネクスト

保護者は皆さん不安を抱えている。

そういった子どものお母さんは、まず、目が合わないとか、あまり活発ではないとか、ちょっとした違和感を感じます。
健診で相談しても「様子を見ましょう」としか言ってもらえず、不安のまま我慢すると、3歳児検診で初めて「言葉が出ていないからちょっと幼稚園は無理ですね。療育施設に行ってください」と言われるんです。いきなり崖から突き落とされたような、出口のない真っ暗なトンネルに取り残されたような不安に陥るのも当然ですよね。
どうしていいか分からず、24時間ずっとそのことばかり考え続けて子どもにつきっきりのお母さんたちに、僕らの場所なら預けられることを知ってもらいたいんです。
保育園は、仕事をしていたり要介護の人がいるといった要件がなければ子どもを預けることができませんが、児童発達支援施設は、療育が必要な子どもなら預けることができる施設です。
預けることで自分の時間ができると、お母さんたちはちょっとだけほっとできて、生きる活力が生まれて笑顔も増え、子どもたちも自然に笑顔になるという循環が生まれるんです。

保育ネクスト

児童発達支援に新たに取り組む中ではどんなハードルがありましたか。

当初は保育士ばかりでしたから、療育はまだ弱かったんです。セラピストや作業療法士、言語聴覚士を集めてどんどんレベルを上げ、療育の質も上がりました。保育も療育もできる場として向上し、子どもたちもいろんなことができるようになっていきました。

保育ネクスト

新たな課題も見えてきましたか。

支援をしていくうちに、僕らにもだんだん欲が出てきました。
幼稚園に行ってもらいたい、保育園に入ってもらいたい、小学校でも支援学校ではなく支援級に行ってもらいたい、支援級ではなく普通級に行ってもらいたい、そう思って背中を押します。
でも実際には、元気キッズでは座って作業したり、集中したり、ごはんを自分で食べたり、お片付けしたり、先生の話を聞いたりできる子たちが、実際の現場に行くと、走り回っちゃったり、席につけなかったり、ご飯を食べれなかったり、ケンカしたりということが起きます。それは当たり前なんですよね。
構造化というのですが、療育施設では子どもたちが生活しやすいように設計されており、分かりやすい支援の言葉がけ、先を見すえた支援ができています。
自分はこれやればいいんだ、次はこれやろうと子どもを後押しする環境です。
でも、実際の現場は子どもたちの人数も多いし、先生の数は少ないし、一人ひとりにできることは限られている。そこまで浸透していないし知識も足りていないわけです。

保育ネクスト

そこで訪問支援を始めたわけですね。

元気キッズの中だけで幸せになってもダメだということがわかりました。
先に行った場所でも子どもたちが笑顔になれるようにということで始めたのが、保育所等訪問支援事業「元気キッズPSC朝霞教室」です。
あわせて教室型の児童発達支援事業所も立ち上げ、所属している子が通う幼稚園や保育園に、言語聴覚士、臨床心理士、作業療法士、療育経験5年以上の保育士が訪問し、その子の直接支援と学級運営などの間接支援をしています。
開所して3ヶ月で満所になってしまい、待っている子たちがいるほどで、まだ社会的支援としては足りてないなと感じています。

保育ネクスト

居宅訪問については。

肢体不自由や心臓疾患のために集団保育に入れない子のお母さんは、自費でベビーシッターを雇ったり、介護サービスでヘルパーさんに来てもらって仕事へ行っています。
朝霞市からお声がけいただいて、そういったお子さんの家に派遣する居宅訪問型の児童発達支援を始めました。
ただ、小さく生まれた子などは同年代の子たちよりゆっくりだったりするので、療育も必要です。そこで保育と療育を現場に行うことにしたところ、いろんなことがすごく改善できたんです。
去年から始めて、子どもたちがすごく伸びていくことが実証されました。

保育ネクスト

どんどん幅が広くなっていきますね。

4月からは児童専門の相談支援事業所を始める予定です。そうした包括的な子育て支援サービスを朝霞市・志木市・新座市というエリアで充実させていくことが僕らのミッションです。全国でもあまり例がないと自負しています。
今、じつは児童発達支援はなくなってもいいと思っているんです。
保育所と訪問所が残ればいい、保育園が児童発達支援の機能を持ち、園の中でそれをできるようにする。必要な専門家を派遣すればいいのではないかと思っています。

保育ネクスト

保育園には特別学級のようなものはないのですか。

ありますが、少ないですね。民間保育園では人件費がかかりすぎてほとんどやれません。
1人入っても8万も入ってきませんが、それに対して職員の人件費は20何万。そのギャップを事業所負担でやれという制度なんです。
僕は新座市の子ども子育て会議の委員でもあるので、それはおかしいと手を挙げています。みんな徐々に気づいて変えようとしています。
行政にものを言える立場になりたいと思ってやっています。

 
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