「こんなとき」のコツ~寝かしつけ編

子どもがぐっすり眠ってくれる寝かしつけのコツ

現役保育士からの相談で「お昼寝の時間に子どもが寝付かない!」とお悩みをよく聞きます。子どもの生活リズムを整えるために、保育士としては何としてでも乗り越えたい問題ですよね。そこで今回は、子どもがぐっすり眠れるような寝かしつけのコツを解説します。

子どもの睡眠はなぜ大切?質のよい睡眠がもたらす効果

睡眠は、子どもが成長する上で欠かせない要素です。
睡眠には深い眠りの「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」に分けられます。レム睡眠では、日中の学びや五感の記憶の定着が促され、一方ノンレム睡眠では、筋肉を増やし免疫力を高める「成長ホルモン」が多く分泌されます。
お昼寝はレム睡眠の割合が多いです。新生児の場合、睡眠のおよそ50%がレム睡眠といわれています。
そのため、保育園での寝かしつけの際は、主に感覚や記憶など、脳の発育の意味合いが強いといえるでしょう。さらに、短い睡眠は疲労回復や情緒の安定などの効果もあります。生活リズムも安定し、健康的な生活習慣が身に付きます。

子どもを寝かしつけるための事前準備

子どもを寝かしつける前にすべきなのは「環境を整えること」です。ここをおろそかにしてしまうと、子どもが寝付かなかったり、お昼寝の途中で何度も目が覚めたりします。次の3つのポイントを押さえて、質のよい睡眠を促しましょう。

寝かしつけの準備
子どもをたくさん遊ばせる

「子どもが眠らないどころか、すごくテンション高い!」「お昼寝の時間なのにおもちゃで遊び出してしまう」という場合は、日中の活動量の少なさが原因でしょう。
子どもが外で体を動かさずに過ごしてしまうと、エネルギーが余ってしまい、眠くなりにくくなってしまうのです。日中は追いかけっこやボール遊びなど、たくさん体を動かす遊びを促しましょう。0~1歳児の場合はハイハイや歩く練習をさせたり、沐浴をしたりしてもよいですね。
また、日中に太陽の光を浴びることで、眠気を促すホルモン「メラトニン」を作る役割を持つ脳内ホルモン「セロトニン」が体内に分泌されます。熱中症に気を付けつつ、子どもを日光の下で運動させたり、お散歩させたりしましょう。

寝かしつけの準備
部屋の気温と明るさを調節する

部屋が暑すぎる、もしくは寒すぎると、子どもの寝付きは悪くなります。子どもを寝かしつける前に、季節に合った快適な室温・湿度を設定しましょう。厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)」では、保育室の室温・湿度の目安を次のように定めています。

夏:26~28℃
冬:20~23℃
湿度:60%

この目安を参考にクーラーや暖房、加湿器や除湿器を適切に使いましょう。
また、部屋は「真っ暗」にせず、薄暗くなる程度がおすすめです。部屋が暗すぎると、子どもが怖がってしまうことも。乳児突然死症候群の防止対策として、子どもの顔の向きや呼吸の有無をチェックするためにも、お昼寝の時間は少しだけカーテンをずらして適度な明るさを保ちましょう。

寝かしつけの準備
衣類を着せすぎていないかチェック

寝かしつけの際、「子どもが手足をバタバタさせて落ち着かない」「顔が赤い、汗をかいている」という場合は、衣類を着せすぎている可能性があります。
特に0~1歳児は自分で体温調節ができないため、衣類の調節が大切です。「子どもの体を冷やさないようにしなくては!」と厚着をさせすぎてしまうと、体温調節がしにくい体になったり、その結果自律神経が乱れたりすることも。
もともと、子どもの体温は大人よりも高めです。平熱が37℃の子どももいます。そのため、子どもの衣服は「大人よりも1枚少なく」を意識しつつ、その日の気温や子どもの体調に合わせて調節しましょう。

これでぐっすり!子どもを寝かしつけるコツ

「寝かしつけが苦手」「寝かしつけようとすると、いつも子どもが嫌がる」という保育士でも簡単に実践できる、寝かしつけのコツを解説します!基本的なテクニックに加え、心構えや応用テクニックも一緒にチェックしていきましょう。

寝かしつけのコツ
まずは保育士がリラックスすること

周囲の保育士の目を気にして「早く寝かせなきゃ!」と焦っているときや、「どうして寝てくれないの?」とイライラしているときに限って、子どもが全然寝てくれないことってありますよね。
それは、子どもが大人の感情を敏感に察知しているからです。たとえコミュニケーション能力が未熟な0~1歳児でも、近くにいる大人の焦りやイライラなどの感情は分かります。
心が不安定な大人に寝かしつけられても、子どもは落ち着いて寝られません。むしろ、不安が伝染して余計に寝付きが悪くなります。
まずは、保育士が心を落ち着かせて、おおらかな心で子どもを受け入れることがポイントです。「寝たくなったら寝ればいいからね」というスタンスで愛情たっぷりのスキンシップをとれば、子どもも安心感を抱いてくれるでしょう。

寝かしつけのコツ
添い寝をしながら息スースー×トントン×マッサージ

自分の体を子ども密着させるように添い寝をするのが、寝かしつけの王道テクニックです。子どもは、信頼している大人の体温や心臓の鼓動に安心感を覚えます。
さらに、子どもの呼吸に合わせて、耳元で「スースー」と寝息を聞かせるという技も効果的です。呼吸のテンポが一致することで、子どもの安心感がさらにアップし、眠気が誘発されます。
それでも子どもが寝付かない場合は、呼吸に合わせて体を優しくトントンしましょう。また、眉間をくるくるとマッサージしたり、かかとの中心部にある「失眠」というツボをやんわり押したりするのも効果てきめんです。

寝かしつけのコツ
音楽をかける・子守唄を歌う

物音一つしない部屋は、子どもにとって落ち着かない環境です。オルゴールや川のせせらぎなどの音源を流して、子どもがお腹の中にいたときのような「ほどよい雑音」を演出しましょう。
もちろん、保育士が子どもの耳元で子守唄を歌うのもOKです。その際は、ゆっくりとしたテンポで歌いながら、子どもの体を優しくトントンしてあげましょう。

それでも寝ないときは?寝かしつけの秘儀!

寝かしつけをする際、「トントンしてもマッサージしても寝ない!」「とにかく泣きやまない」という子どももいるでしょう。そんなときでも活用できる寝かしつけの秘儀や、子どもが寝付かない原因を解説します。

とっておきの寝かしつけ技
子どもが眠るまでおんぶ・抱っこをする

入園して間もない子どもの場合、保育士が自分から離れることを異常に怖がる傾向があります。「眠ったら自分を置いてどこかへ行ってしまうのでは?」という不安があるため、安心して眠れないのです。
そんなときは、おんぶや抱っこをしましょう。体をぴったりと密着させることで、一体感が生まれます。「この人は自分から離れない」という安心感を子どもに与えることができるでしょう。
おんぶひもや抱っこひもで体を固定すれば、密着感はさらに増しますし、両手を自由に動かせるため、幾分か体も楽になります。長時間のおんぶや抱っこはかなりの体力が必要ですが、子どもが保育園に慣れないうちは、とにかく子どもの不安を取り除いてあげることが大切です。
慣れてきたら、添い寝だけで寝られるよう、おんぶや抱っこの時間を減らしていきましょう。

とっておきの寝かしつけ技
水分補給やおむつ替えをする

子どもが「だるそうにしているけど、なかなか寝ない」という場合は、のどが渇いているのかもしれません。そんなときは、子どもにお茶やお水を飲ませて様子を見てみましょう。汗をたくさんかいているときは、服を着替えさせてもよいですね。
また、0~1歳児が「不快そうに泣いて全然寝そうにない」という場合は、おむつを替えてほしいというサインかもしれません。おむつに排せつ物が溜まっていて、その不快感で眠れない可能性もあります。子どもの寝付きが悪い場合は、おむつの中も確認してみましょう。

とっておきの寝かしつけ技
ほかの子どもとお昼寝の時間をずらす

「できることは全部やったけど、どうしても子どもが寝てくれない」という場合は、あきらめてお昼寝の時間をずらしてみるのも一つの選択肢です。
家庭内でいつもより眠る時間が早かったり、いつもより起きる時間が遅かったりすると、なかなか眠くならないケースもよくあります。
子どもの寝付きが悪いときは、連絡ノートに書いてある家庭での睡眠時間を再度チェックしてください。いつもより睡眠時間が多いときは、無理にほかの子どもと同じ時間に寝かしつけるのではなく、10~20分後に寝かしつけてみましょう。

「こんなときのコツ~寝かしつけ編」まとめ

子どもの寝かしつける際に大切なのは、子ども一人ひとりに合った寝かしつけ方を見つけることです。抱っこ一つでも縦抱きなのか横抱きなのか、その子どもが好む方を探る必要があります。焦らずゆっくりと、いろいろな方法を試していけば、きっとベストな寝かしつけ方が見つかりますよ。
 


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