子どもの音域に合わせた[歌の選び方]

子どもの音域に合わせた[歌の選び方]

保育園では、季節に合ったさまざまな歌を子どもに歌ってもらうことで感性や表現力を伸ばしていきます。ここで意外と重要なのは、年齢に合った曲を選ぶこと。今回は年齢ごとの音域や、曲を選ぶときのポイントを解説します。曲選びに悩む保育士さんは要チェックです。

子どもの音域

子どもの音域(子どもが発生できる音の高低の範囲)は、成長するにつれて広がっていきます。年齢によって音域は異なるので、保育士は年齢に合わせた音域の曲を選ぶ必要があります。
実際、0~5歳児の音域は具体的にどれぐらい違うのでしょうか?
年齢ごとにチェックしていきましょう。

0歳児の音域
音程を取るのが難しい

0歳は、まだ歌うことは難しいとされています。
生後2~3カ月あたりまでは主に「あー」「うー」といった声を出します。生後半年になると自分の声で高低をつけたり、さまざまな声音を出したりして遊ぶことができるようになるでしょう。「ままま」「だだだ」といった喃語が盛んになり、やがて歌うような声を出すようになります。

1歳児の音域
いよいよ歌うことができるように

1歳ごろは、音楽に合わせて体を動かしたり、実際に歌ったりし始める時期です。
音域はファ~ラあたりで、まだまだ狭い印象です。

2歳児の音域
音程は個人差あり

2歳になると、旋律に合わせて歌うようになります。
音程はまだおぼつかないのものの、「何を歌っているか」を大人が聞き取れるレベルへと成長します。
音域はレ・ミ~ソ、ド~ソあたりです。
ただ、この時期はまだまだ個人差が目立つので、あくまでも目安として押さえておきましょう。

3歳児の音域
音域は半オクターブ

3歳になると少し音域が広がり、子どもによってはド~ラまで出せるようになります。
まだ音程は不安定ですが、一曲を通して歌えるようになります。
また、数人と一緒に歌えるようになるのもこの時期です。

4~5歳児の音域
音域は1オクターブ

4~5歳になると、低音・高音がさらに広がりを見せます。
音域は平均1オクターブ(ド~ド)で、子どもによってはラ~レまで出せることも。
この時期には、正しい音程やリズムで歌えるだけでなく、強弱をつけられるようになります。
想像力や創造力もさらに成長し、自分で歌詞を創作して歌う子どもも見られるでしょう。

子どもの音域に合った曲を選ぶ理由

子どもの音域に合わせて曲を選ぶべき理由は、「子どもが歌いやすいようにする」だけではありません。次のようなことを防ぐという理由があります。

「怒鳴って歌う癖」を防ぐ

音域に合わない曲、具体的には「音が高すぎる曲」を歌おうとすると、子どもは高音を出すために怒鳴って歌うことがあります。
そのまま歌い続けると、過剰に声を張り上げて歌う癖がついてしまいます。
こうした癖を防ぐためにも、子どもが無理せずに歌える音域の曲を選びましょう。

声帯に負担をかけないため

音域に合わない曲を歌うと、声帯に過剰な負担がかかってしまいます。
負担が続けば声が慢性的にかすれたり、ひどい場合はポリープができたりする可能性も。
子どもが健康に、そして楽しく歌えるよう、自然な音域の曲を選びましょう。

歌への苦手意識を持たないように

音域に合わない曲を歌う続けると、音程が上手くとれない悔しさや喉の痛みなどから、子どもが歌に苦手意識を持ってしまいます。
音楽に興味をなくし、活動に集中できなくなることもあるでしょう。
子どもの年齢に合った音域の曲を選ぶのはもちろん、各年齢に適したレベルの曲を選ぶのが重要です。

【年齢別】音域・発達に合った曲の選び方

続いては、年齢ごとの音域・発達に合った曲の選び方を紹介します。
曲を選ぶ際に「どの部分に注目すればいいのか」を解説しているので、曲選びに迷ったときの参考にしてみてくださいね。

0歳児向けの歌の選び方
ふれあい・語りかけ

0歳児はまだ歌うことが難しいため、保育士がスキンシップを取りながら優しく歌いかけるようなわらべうたがおすすめです。
顔や体を「くすぐる」「優しくつねる」など、感覚を刺激するような触れ合いをしてもよいでしょう。
子どもが言葉に興味や親しみを持てるよう、オノマトペや繰り返しの表現を取り入れた曲を選ぶのも◎です。

1歳児向けの歌の選び方
言葉・リズム

1歳になると音楽のリズムに合わせて体を動かすようになるため、「言葉・リズム」が曲選びのポイントになります。
子どもが言葉の節や、言葉が持つ独特のリズムなどを楽しめるよう、簡単な手遊び歌を選びましょう。
言葉と連動して手足を動かす体験を経て、音楽との一体感を味わえます。
ただ1歳児の音域は狭いので、音階の移動が少ない曲を選ぶのがおすすめです。

2歳児向けの歌の選び方
親しみやすい歌詞

2歳になると、保育士の歌を真似たり、1歳よりも明確なリズムで歌ったりできるようになります。
また、日常生活で目にする花や草、動物などのイメージと歌詞がリンクし、歌をさらに身近なものとして楽しむようになります。
この時期には、印象的なリズム・親しみやすい歌詞を取り入れた曲を選びましょう。
例えば「わんわん」「おほしさま」など、子どもの身近にある動物・自然をテーマにした曲がよいでしょう。
ちなみに2歳は部分的に歌うことが多く、一曲を通して歌う段階ではありません。
短めの曲を選ぶとなお◎でしょう。

3歳児向けの歌の選び方
生活にかかわりのある歌詞

3歳は音域が半オクターブに広がり、表現力がさらに伸びる時期です。
ただ音程はまだ不安定なので、無理なく歌える音域の曲を選びましょう。
また、生活の中で感じたことを表現する時期でもあるので、生活にかかわりのある歌詞が適しています。
例えば「おかたづけ」「給食・お弁当」など、子どもが保育園や自宅で体験している事柄をテーマにした曲がおすすめです。
子どもがいろんな歌を楽しめるように、季節や行事に合った曲も取り入れていきましょう。

4~5歳児向けの歌の選び方
想像力を刺激する歌

4~5歳には、平均1オクターブが出せるようになり、リズムや音程も安定してきます。
表現力や想像力がさらに伸びる時期なので、ストーリー性のある曲やアレンジにやすい曲がぴったりでしょう。
また、子どもが歌の登場人物になりきって歌えるような曲も人気です。
1番・2番・3番と歌詞が変わる曲や、強弱を付けるような、少し難易度の高い曲に挑戦してもよいでしょう。
また、年中・年長は大人数で歌うことにも慣れてくる時期です。
みんなで振付を考えたり、パートを分けたりして歌ったりして、いろんな音楽の楽しみ方を探ってみましょう。

【年齢別】季節の歌

最後に、年齢別に保育園で歌う「季節の歌」を紹介します。
春・夏・秋・冬と、季節感に合った曲を選んでいるので、朝の会や活動の導入の参考としてチェックしてみてください。

春の歌

春の野菜や花、虫をテーマにした曲は、季節感を養うのにぴったりです。
0~3歳児向けにはチューリップや蜂、キャベツなどを手で表現できるような曲をピックアップしてみました。
4~5歳児は少し長めで、ストーリー性のある曲がおすすめです。

0~1歳児

2歳児

3歳児

4~5歳児

夏の歌

夏は七夕をはじめ、イベントが盛りだくさんな季節です。
夏の冷たいジュースやアイス、夏の夜空や常夏の島を連想させるような曲を選んでみました。
このほか、プールや海にちなんだ曲を選んでみてもよいでしょう。

0~1歳児

2歳児

3歳児

4~5歳児

秋の歌

ハロウィンや運動会などの秋のイベントや、秋の風物詩にちなんだ曲をチョイスしてみました。
運動会には「うんどうかい」といった定番ソングのほか、「エビカニクス」「ブンバ・ボーン」などの体操曲がおすすめです。
0~1歳児

2歳児

3歳児

4~5歳児

冬の歌

クリスマスやお正月、冬に人気の食べ物をテーマにした曲は、子どもにとって親近感があります。
また、冬は一年の終わりである「年末」を含む季節なので、「カレンダーマーチ」のような1年を締めくくるような歌もぴったりです。
1年間の出来事を思い出しながら歌えるよう、歌う前に「○月はこんなことがあったね」といった声かけをしてみましょう。
0~1歳児

2歳児

3歳児

4~5歳児

各年齢の音域に合った曲を選ぼう!

子どもの年齢によって音域は異なるため、保育現場では各音域や発達に応じて曲を選ぶことが重要です。
乳児にはスキンシップが取れるような歌、幼児には身近なものをテーマにした歌などがおすすめです。
今回の記事を参考に、子どもがより音楽を楽しめるような曲選びを心がけてみてくださいね。
 

 

こちらの記事もどうぞ

「保育の質」を向上させることが重要だと言われますが、保育園は具体的にどのような対応が求められているのでしょうか?

保育現場では、「保育力」という言葉をよく耳にすることと思いま…

製作活動に欠かせないハサミの使い方を覚えさせる5つのステップを解説します。

子どもの発達段階の観点から「頭足人」と子どもの絵の成長を解説します。

幼児期の子どもが描くグチャグチャのなぐり書き(スクリブル)は…

保育所保育指針の5領域の一つ「表現」のねらい、内容、年齢別の実践例を紹介します。

厚労省の唱える「語り合える風土づくり」とは? そのつくり方やポイントを解説します。

子どもの健やかな成長に欠かせない取り組み「食育」。保育園での食育の実践方法やポイントを紹介します!

平均勤続年数から一人前になるまでにかかる期間を読み解き、働き続けやすい保育園の選び方を紹介します!

怒りをコントロールして保育の質も指導の質も向上。経営者やリーダー保育士は、アンガーマネジメント研修を検討してみましょう。