保育実践!ハサミの使い方のポイントと5つのステップ

保育実践!ハサミの使い方のポイントと5つのステップ

ハサミは保育園での製作活動に欠かせない道具です。ただ、ハサミの使い方をマスターするには複数のステップを経る必要があり、「何から教えればいいのか…」と悩む保育士もいるでしょう。今回はハサミの使い方を5つのステップ別に紹介します。

子どもの発達とハサミ

保育園でハサミの製作を始める際には、子どもの発達状態を把握し、そして「ハサミを使って何を育むか」という意識をもつことが必要です。
それでは、ハサミを使う年齢やねらいなどをチェックしていきましょう。

ハサミを使えるようになるのは3歳頃

3歳になると、線や丸を上手に描いたり、ハサミやのりを使って製作したり、と指先を器用に動かせるようになります。
そのため、多くの保育園では3歳クラスでハサミの使い方を指導しています。
2歳頃でもハサミを使えなくはありませんが、保育士の注意や解説を理解する力、集中力などを考えると、集団で指導するのに適しているのは3歳と言えます。
もちろん子どもによって発達のスピードは異なるので、クラスの子どもたちの発達に合わせて、指導するタイミングを見計らうのは問題ありません。
ハサミの練習を始めるタイミングは、「スプーンやフォークをしっかり持てる」「手をグーパーできる」などに合わせるといいでしょう。

ハサミを使う「ねらい」

「そもそも、なぜ子どもにハサミの使い方を指導する必要があるのか?」
そんな疑問をもつ保育士もいるかもしれません。
ハサミを使うのは、製作の幅を広げるためだけではありません。
ハサミを使うことは、「残しておきたい部分を切らないようにする」という自制心や、「指を切らないようにする」という危機管理能力などを養わうことにつながります。
また、思考力が身につき、空間認知能力も伸びるため、手先をより自由に動かせるようになります。
表現力や集中力もさらに磨かれ、製作の楽しさを深く味わえるでしょう。

ハサミを使うときの注意点

言うまでもなく、ハサミは先が鋭利な刃物ですから、子どもに使わせるときには注意が必要です。
ここでは、指導時に子どもに伝えるべき「注意点」を5つ紹介します。

ハサミの注意
座って使うこと

ハサミを持ったまま立ったり走ったりすると、ケガにつながります。
子どもにハサミの使い方を指導するときは、まず「ハサミは座って使う」と約束させましょう。

ハサミの注意
ハサミの先を人に向けない

ハサミの先は鋭利なので、人に向けないようにさせなくてはいけません。
手渡すときは、取っ手の部分を向けて相手に渡す、ということを伝えましょう。

ハサミの注意
紙や指を切らないように注意する

ハサミは、紙や指を切らないように細心の注意を払って使わなければなりません。

  • 刃に指を近づけない
  • ハサミの刃の進行方向に指を置かない
  • よそ見をしない

子どもに使い方を指導するときは、ハサミが危険なものであることを理解させ、上記の内容を伝えましょう。

ハサミの注意
使い終わったらケースに入れる

ハサミをケースに入れずに放置させるのは問題があります。
ハサミを使い終わったらケースに入れるよう、子どもにしっかりと声をかけましょう。

ハサミの注意
保育士がいないところでは使わない

製作時だけでなく、自由遊びや何かの作業でハサミを使うことはあるでしょう。
しかし、保育士がいない場所で子どもが一人でハサミを使うのは大変危険です。
必ず保育士に許可を取り、保育士がいるところで使うよう、子どもに伝えましょう。

ハサミを実践!5つのステップ

ハサミの使い方は、いきなり習得するものではなく、いくつかのステップを経てマスターしていくものです。
ここでは、5つのステップ別にハサミの使い方を紹介します。

ハサミの使い方注意ステップ①
持ち方を練習

ハサミを正しく持たないとケガにつながるので、まずはハサミを持つ練習からスタートしましょう。

【子どもへの伝え方】

  • ハサミの先(刃)を、おへそと反対の方に向けてね。
  • 小さい穴にお父さん指を入れて、大きい穴にお母さん指とお兄さん入れてね。
  • 穴に指を入れたら、手をグーパーって動かして、ハサミを閉じたり開いたりしてみてね。

子ども一人ひとりの様子を見て、慣れるまで持ち方の練習を繰り返しましょう。
子どもが持ち方に慣れたら、まず紙を使わずにハサミを閉じたり開いたりするだけの動作をさせましょう。

ハサミの使い方注意ステップ➁
1回切り

ハサミを動かす練習を終えたら、いよいよ実際に紙を切る段階に移ります。
最初は、ハサミを一度だけ動かして紙を切る「1回切り」の実践。
一度で切り落とせるよう、幅1~2cmの紙を用意して指導します。
薄い紙の場合は、紙がへたってハサミを入れにくいので、画用紙など少しだけかたさのある紙を使うのがポイントです。
各テーブルを見回りながら、ハサミと顔の距離、姿勢、押さえる紙の部分など、細かい点を指導してください。
慣れてきたら、紙に線を引いて「線に沿って切る練習」にステップアップしましょう。

ハサミの使い方注意ステップ③
連続切り

1回切りの次は、ハサミを連続で動かして切る「連続切り」です。
まず幅5~6cmの紙を用意して、ハサミを閉じずに2~3回開閉して切る練習から始めます。
慣れてきたらハガキサイズの紙を用意して、ハサミを複数回開閉して切る練習に移行しましょう。

ハサミの使い方注意ステップ④
曲線切り

次に、連続切りの応用編として「曲線切り」の練習をしましょう。
曲線切りというのは、文字通り曲線を切ることです。
このステップでは、紙にペンで丸や楕円などの曲線を引き、その線に沿って切っていきます。
ポイントは「ハサミを動かすのではなく、紙を動かして切ること」です。
ハサミを持っていない方の手で紙を動かして、ゆっくりと切り進めていくよう声をかけましょう。

ハサミの使い方注意ステップ⑤
自由に切る

連続切りや曲線切りに慣れたら、自由な形に切る練習をしましょう。
最初はハートマークや星形など、簡単ものから始めるとよいでしょう。
その後は少しずつ人や動物の形など、少しずつ複雑な形に挑戦していきます。

ハサミの使い方を伝えるときのポイント

最後に、子どもにハサミの使い方を伝えるときのポイントを紹介します。
子どもが安全に楽しくハサミを使えるように、次のようなことに配慮しましょう。

まずは「導入」で興味を引く

ハサミの使い方を教える前に、まずハサミに対する興味を子どもに持たせる「導入」が必要です。
ハサミが登場する絵本を読んだり、ハサミに関するクイズや手遊びをしたりして「ハサミを使ってみたい」という自然な意欲を引き出しましょう。
実際にハサミを使って製作した作品を見せて、「ハサミを使うとこんな面白いことができる」と伝えるのもおすすめです。

お手本を見せる

口で教えただけでは、ハサミの使い方はなかなか伝わりません。
まずは保育士自身がお手本を見せ、ハサミの持ち方や切り方を伝えてください。
苦戦している子どもがいたら、背後に回って両手で持ち方をレクチャーしたり、横に並んで真似してもらったりするといった援助してあげてください。

年齢や発達に合ったレベルの製作を提案する

あまりに難しすぎる製作は危険なだけでなく、子どものモチベーションも下げてしまいます。
ハサミを使った製作は、年齢や発達に合ったレベルのものを行いましょう。
最初は簡単な形から始め、少しずつ複雑な形へとステップアップするのがおすすめです。
素材は画用紙や折り紙、慣れてきたら薄めの段ボールやペットボトルなどに挑戦してもよいでしょう。
いろいろな素材を試して、切れ味の違いを知ることで、製作の楽しさがもっと広がります。

必ず近くで見守る

ハサミを使い始める年齢は、まだまだ手元が不安定になりがちなので、保育士の見守りが欠かせません。
製作時は各テーブルを見回って子ども一人ひとりの様子を見て、必要であれば援助しましょう。
リーダー役の保育士が子どもの前で指導し、サブ役の保育士がテーブルを見回るなど、複数の保育士で役割を分担すると円滑に指導が進みます。

利き手に合った指導をする

3歳頃は、利き手が定まり始める時期です。
ハサミを持つ手や紙を持つ手の位置など、右利き、左利き、それぞれに合わせて指導しましょう。
また、保育園の備品としてハサミを購入する際は、右利き用だけでなく左利き用、もしくは両利き用も用意しておくのもポイントです。

ハサミの使った製作の楽しさを伝えよう!

保育実践!ハサミの使い方のポイントと5つのステップ

ハサミをマスターすれば、画用紙や色紙で「こいのぼり」「かき氷」「クリスマスツリー」など、幅広い作品を製作できるようになります。
切り絵やモビール、手作りおもちゃなども作れるようになるので、遊びの幅がぐんと広がります。
しかし、ハサミは使い方を誤るとケガにつながるので、正しい使い方をしっかりと伝えてください。
今回紹介した5つのステップや指導のポイントを参考に、ハサミの使い方を教えてきましょう。

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