保育園に通う子どもたちにとって、プール遊びや水遊びは夏の大きな楽しみ。今回はそんな水遊びに役立つ導入やゲーム、手作りおもちゃを紹介します。ねらいや必要な準備も解説するので、保育で水遊びを取り入れる際はチェックしてみてください。
保育園の水遊びのねらい
水遊びに限らず、保育で活動を行う際には、月案や指導案に「ねらい」を書き、それに沿って適切な援助を行います。水遊びのねらいはどう考えればいいでしょうか?
0~1歳の水遊び
- 水の冷たさや感触を肌で感じ、親しみを感じる
- 水が飛び散る様子、流れる様子など、水のさまざまな動きや音に興味を持つ
- 水の中で手足を動かし、運動能力を高める
2~3歳の水遊び
- 水の中に入り、バランス感覚や運動能力を高める
- 水を使ったさまざまなゲームやおもちゃ遊びを試して、好きな遊びを見つける
- 保育士や友だちと一緒にコミュニケーションを交えながら遊ぶ
4~5歳の水遊び
- ゲームで友だちと協力したり、水遊び用のおもちゃを貸し借りしたりして、協調性を育む
- 水遊びを通じて自己表現を行い、自分の考えや感情を伝える
- 約束事を守り、安全に気を付けながら遊ぶ力を身につける
保育園で水遊びに必要な準備
周囲の環境や子どもの体調など、水遊びの際には配慮すべき点がいくつかあります。
備えとして、事前にしておくべきことをチェックしていきましょう。
プールやおもちゃの安全点検を行う
水遊びで使うプールやおもちゃの安全点検は必須です。
施設にプール設備が備え付けられている場合は、プール本体やシャワーに破損部がないか、周囲に子どもがケガをするような部分がないか、あらかじめ確認しておきましょう。
水遊びのためにビニールプールを用意する場合は、穴が開いていなこと、膨らませたときの強度などをチェックしておきましょう。また、専用の空気入れも忘れず準備してください。
天候・気温を確認する
多くの保育園では、水遊びは気温が25℃以上の晴れた日に行うルールにしています。
気温が高すぎたり低すぎたりすると、水遊びを行うべきではないので、当日の天候や気温を把握し、水遊びができるかどうか判断しましょう。
水温をチェックする
水遊びの水温を調整するときは「気温+水温=50℃以上」 であることが目安です。
小規模プール衛生管理資料(令和3年度)では、水温は26℃~31℃(室内プールは29~31℃ )が推奨されています。
お湯や水で温度を調整して、推奨温度にに近づけてください。
子どもの体調に注意する
最も大事なことは、水遊びの前に体温を測定したり視診によって子どもの体調を確認することです。
場合によっては、水遊びではなく室内遊びをしたり、様子を見ながら服を着た状態で水遊びするべきかもしれません。
全身を使った水遊びは体力を大きく消耗し、水分補給も忘れてしまいがちなので、合間に適度な休憩時間を設けて水分補給させましょう。
気温が高い日は熱中症対策も忘れずに。
約束事を決める
水の中は、地上と比べると足場が悪く、ぶつかっただけで転倒やケガにつながる可能性があります。また、水位が低くても、鼻の穴と口がふさがると呼吸ができなくなり、おぼれてしまいます。
子どもたちが安全に楽しく遊べるように、水遊びに入る前に約束事を決めておきましょう。
約束事の例を下記に挙げておきます。
- プール周辺では走らない
- 保育士の話をきちんと聞くこと
- 友だちを押さない・ぶたない
- いきなり水の中に入らない
- おもちゃは順番に使う
「○○すると、こんな危険があるよ」というふうに、「してはいけない理由」もあわせて説明すると、きちんと理解してもらえるでしょう。
「どうして○○してはいけないんだと思う?」と子どもに質問し、子どもに考えてもらうアプローチもおすすめです。
水遊びの前に導入するおすすめのアイデア
プール設備を確認したり水遊び用のおもちゃを準備したり、水遊びを始めるまでには少し時間ができてしまうことがあります。
水着に着替え終わった子どもはうずうずして待っていることでしょう。
そんなときは次のような遊びを行うといいでしょう。
夏にまつわる手遊び
魚、海、かき氷など、夏や水を連想させる手遊びは水遊びの導入にぴったりです。
- みずてっぽう
水遊びにぴったりの「みずてっぽう」の手遊びです。
スピードを変えるといったアレンジでさらに楽しめます。 - すいちゅうめがね
水中めがねを通して、海の中を探検するというユニークな手遊びです。
カニ、カメ、タコなど、海の仲間たちがたくさん登場します。 - ガリガリかき氷
かき氷が食べたくなるような、楽しい手遊びです。
いちご、レモン、メロンのシロップをかけて~の部分をアレンジして、お好みのシロップに変えて歌っても◎ - タコの足は○本です
- イカの足は○本です
- カメは○歳まで生きられます
- 海と陸、広いのは○です
絵本の読み聞かせ
水遊びの前日などには、プールや水遊びにまつわる絵本を読み聞かせて、子どもたちの想像力を刺激するのもいいでしょう。
こぐまちゃんのみずあそび
大人気のこぐまちゃんシリーズの、水遊びにぴったりのエピソードです。
じょうろやホースで無邪気に遊ぶこぐまちゃんたちが描かれています。
絵本に登場する独特のオノマトペが、子どもの遊び心をくすぐります。
はかせのふしぎなプール
博士が発明した「なんでも大きくしてしまうプール」の水面からはみ出ている部分をたよりに、助手が沈んでいるものを当てるというお話です。
「一体何が沈んでいるんだろう?」という子どもの好奇心を誘うユニークな絵本です。
ぞうくんの あめふりさんぽ
ぞうくんたちが池の中を散歩していると、だんだん池が深くなり、泳げないぞうくんをかばくんが背中に乗せてくれます。
しかし、進んでいくとさらに池は深くなり……という、その後の展開が気になるお話です。
○×クイズ
水や海、海の仲間たちにまつわる○×クイズも、子どもの好奇心をくすぐるおすすめの導入です。
クイズを通じて、知識が身に付くのもうれしいポイントですね。
水遊びにぴったりの手作りおもちゃ
水遊びのときに活躍する手作りおもちゃを3つ紹介します。作るときのポイントや遊び方もチェックしていきましょう。
水風船
プニプニ、プルプルした感触がくせになる水風船。
風船の中に水を入れるだけなので、たくさん作ってプールやタライに浮かべてみてもいいですね。
風船の口を結ばず水鉄砲にして遊んだり、小さめの風船に水を入れてヨーヨーにしたりと、アレンジ方法もたくさんあります。
ペットボトルシャワー
ペットボトルで作る、水遊びにぴったりのシャワーです。
ペットボトルを縦半分にカットしてビニールテープを縁に貼り、持ち手用の穴を開けてひもを通し、底に穴を開けて完成です。
油性ペンでペットボトルに魚やヒマワリの絵を描いて、オリジナリティを出してもいいですね。
金魚すくい
縁日でおなじみの金魚すくい。
金魚をスポンジシートで、「ぽい(すくい取る道具) 」をティッシュと紙コップで作ります。
制限時間内に魚が何匹すくえるか競ってみましょう。
このおもちゃはタライに浮かべてもできるので、水遊びができない子どもの室内遊びにもおすすめです。
https://youtu.be/1cpWIvCiQO0
水遊びがもっと楽しくなるゲーム
水遊びがさらに盛り上がるゲームを3つ紹介します。
風船リレー
広いプールにおすすめなのが、チーム対抗の風船リレーです。
数人のチームに分かれて、風船を決められたエリアまで運びます。
チームの仲間とパスを繰り返し、一番先にゴールしたチームが優勝です。
水中じゃんけん
いつもと違ったじゃんけんが楽しめる、水中じゃんけん。
ゲームなら、水に顔をつけるのが苦手な子どもも「チャレンジしてみよう」という気持ちになれるかもしれません。
まだ水に顔が付けられない子どもの場合は、まずは水中に手だけを入れてじゃんけんをするところから始めてみましょう。
宝探し
水の中にあるお宝を探すゲームです。
おもちゃのダイヤや人形、カード、シャベルやバケツなどを用意して、それぞれを子どもたちに見つけてもらいます。
一番お宝を多く見つけた人が勝ちです。
水の中に沈むものがないときは、風船やスーパーボールを浮かべてみましょう。
手作りおもちゃやゲームで水遊びを盛り上げよう!
水遊びを通じて、子どもは水の冷たさや感触に親しみを感じながら、保育士や友だちと遊ぶ楽しさを知ります。
夏にぴったりの手遊びや絵本の読み聞かせ、ユニークな手作りおもちゃやゲームを用意して、子どもたちとの水遊びをさらに盛り上げていきましょう。
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