子どもたちの笑顔を増やして、主体性を育みたい ~ 元気キッズ/株式会社SHUHARI 代表 中村敏也氏

子どもたちの笑顔を増やして、主体性を育みたい ~ 元気キッズ/株式会社SHUHARI 代表 中村敏也氏インタビュー

保育士不足と言われる中、新卒保育士の離職率が8年間ゼロという保育所があります。埼玉県内3市(志木市・新座市・朝霞市)で、認可保育所・小規模保育から児童発達支援まで13施設を展開する「元気キッズ」の運営者、中村敏也氏(株式会社SHUHARI 代表取締役)に、発達に凹凸のある子どもの支援、子どもたちの笑顔を増やすための保育のあり方などについて伺いました。

保育の世界に飛び込み、児童発達支援にたどりつくまで

保育ネクスト

中村さんはもともと保育の世界にいた人ではないのですね。

もともとはワインの輸入業務に携わっていました。待機児童がたくさんいることを知って社会人2年目に起業しました。
当初はビジネス寄りの考え方でしたが、「やりたいことは子どもたちの笑顔」ということは変わっていません。続けるうちにどんどん課題が見えてきて、それを解決しつづけて今の形になりました。
一貫して言っているのは、子どもたちが笑顔になることをやっていくということです。そのためには保育だけではなく、児童発達支援もやるし、保育所等訪問支援もやります。

保育ネクスト

まず保育園の事業所を増やしていかれたのですね。

子どもたちに出会う数が増えると、保育の質が事業所ごとにばらついていることに気づき、子どもたちが最高の笑顔になる場所にしなくてはいけないと思い、待機児童対策から小規模保育に方向転換しました。保護者支援も大切ですが、大人のための待機児童対策ではなく、子どもを主体に考えることによって自治体からも応援いただけて自然と数が増えていきました。

保育ネクスト

そして児童発達支援事業所を立ち上げられた。

保育士さんは、発達障害などの子が来ると、どうすればいいか分からないんです。不安のままで支援しても、子どもたちの笑顔にはつながりません。ノウハウも知識もないし、人も足りない。そこで、発達障害やグレー、療育が必要な子どもたちのための児童発達支援事業所を新たに立ち上げ、保育型の療育支援を行うことにしました。
児童発達支援事業所は、県や政令指定都市の自治体が認可するものです。許認可制ですから、施設面積や、児童発達支援管理責任者がいることとか、人数などの要件を満たしていれば届を出せば開けます。
中でも児童発達支援管理責任者はマストで、あとは人数によって加算する単価が変わってきます。
保育士さんがいればその分の加算がとれるので事業としては成り立つわけです。

保育ネクスト

普通の保育園とどこが違うのでしょう。

子どもの最善の利益の保障にもとづく子どものケアから児童福祉法があり、そこに保育が含まれ、さらに児童発達がその上にある感じです。
療育と保育は考え方がまったく違います。
保育はその子がこうなってほしいという未来を見すえた支援ですが、療育というのは、その子が苦手なこと、好きなこと、家族関係、社会とのつながり、どんな習い事をしているかという凹凸を調べた上で、今必要なことは何かという個別支援計画を作ります。
どうやってそれを達成するかという観点から、社会に適応するための生活訓練をしていきます。
つまり真逆なんですよ。

保育ネクスト

方向が違うんですね。

普通の子は体験や愛情を注いでいけば普通に育っていきます。
これに対して発達に凹凸のある子どもは、同じ量の愛情や経験値、言葉がけ、教育を注いでも、いわば穴の空いたバケツのように流れていってしまうのですね。
その穴を埋めるのが療育で、水を漏れにくくして発達を整えるという考え方です。これを理解できないと、保育も療育の違いはわからないと思います。

保育ネクスト

職員が保育と療育を行き来することもありますか?

保育園属性と児童発達支援属性はやはり違いますので、行き来は難しいですね。
基本的には保育園要員と児童発達要員は別々に雇用していますが、児童発達支援で応募してきた人を保育に誘うことはあります。
逆に保育で採用した人を児童発達支援に行ってもらうことはあまりないですね。やりたいことが違うわけです。
児童発達支援の人はロジカルで、愛情や優しさも豊かな人が多いイメージがあります。

 
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