笑顔でバイバイできるおみおくりのコツ

笑顔でバイバイできるおみおくりのコツ

子どもにとって、保育園での朝のおみおくりは、保護者とお別れをするちょっぴり寂しい時間です。思わず泣いてしまう子どもも多いでしょう。そこで今回は、子どもが保護者に笑顔で「いってらっしゃい!」と言えるようなコツをご紹介します!

朝のおみおくりで大号泣?保育園でよくある「おみおくり」体験談

現役保育士から、よく、朝のおみおくりについてお悩みの相談をいただくことがあります。おみおくりのコツを知る前に、まずは保育士が悩みがちな朝のおみおくりエピソードをチェックして、おみおくりで起こる問題点を確認していきましょう。

子どもが保護者と離れたくなくて泣く

朝のおみおくりで、保護者と離れるのが嫌で泣いてしまう子どもがいます。保護者がいなくなった後もずっと泣いてしまい、なかなか泣き止みません。泣き止んだと思ったら、泣き疲れて寝てしまい、朝のおやつが食べられないことも…。

(1歳児担任保育士)

朝に保護者と離れる際に、「ママ行っちゃ嫌だ~!」と子どもが泣いてしまうのは、よくある光景です。しかし、ずっと泣き止まないのは心配ですね。

保育園での一日の流れは、次のようになっています。

  • 朝のおやつ
  • 運動遊びや制作などの主活動
  • 昼食
  • お昼寝
  • おやつ
  • 自由遊び

これは、子どもの生活リズムを整える上で重要な流れです。この流れが崩れてしまうと、活動量が減って眠れなくなったり、生活習慣が不規則になったりします。また、常に不安な状態でいることは、子どもの心にとって悪影響です。
そのため、保育士は、子どもの不安を早急に取り除くことを心がけましょう。

泣いている我が子を放っておけず保護者が困ってしまう

保護者が泣いている子どもを放っておけず、ずっと保育室に留まってしまうことがあります。周りの子どもも気になって集まってきて混乱してしまいますし、保護者も仕事に遅れそうで焦っています。

(2歳児担任保育士)

施設の構造上、保護者が保育室に入って着替えや持ち物などを用意しなければならない保育園もありますよね。
そのときに子どもが泣いてしまうと、周りにいる子どもが「どうしたの?」と心配したり、泣いている子どもの不安が伝染して泣いてしまったりすることも。
保護者も「何とかしなくちゃ!」という責任感の強さから、なかなか保育室から出られなくなるのでしょう。
保護者と子どものやりとりは見守ることも大切ですが、助けが必要だと感じたら、保育士がそっと助け船を出しましょう。

おみおくりで泣く子どもの心理

「保護者と離れたくて泣くのは、精神状態が不安定なのでは?」
そんな心配をする保育士もいるでしょう。
でも、子どもがおみおくりの際に泣くのは、ごく自然なことです。
子どもが泣くのは、保護者との愛着関係がしっかり形成されているからです。むしろ、健全な心理状態ともいえます。
大好きなママやパパが目の前からいなくなると、「もう会えなくなっちゃう!」と錯覚し、その不安で泣いてしまうのです。この症状は「分離不安」と呼ばれ、多くの場合、年齢が上がるにつれ症状は収まっていきます。
そのほか、環境の変化や子どもの性格も関係していますが、共通して大切なのは、保育士が子どものありのままの気持ちを受け止めることです。
分離不安は一度や二度で収まるものではありません。子どもが落ち着くようになるまで、繰り返し働きかけていきましょう。

保育士必見!朝のおみおくりをスムーズにするコツ

子どもが保護者を気持ちよくおみおくりできるよう、保育士が心がけるポイントをご紹介します。

スムーズにおみおくりさせるコツ
保護者とのお別れは短く!

前述の体験談にもあったように、保護者とのお別れが長引くと、子どもの「離れたくない!」という思いが強くなります。
「泣いていれば、ずっとそばにいてくれるかも?」という期待も持たせてしまうため、保護者とのお別れは極力短くした方がよいでしょう。
「お仕事行ってくるね、また迎えに来るからね」
保護者が子どもにお別れの言葉をきちんと伝えたら、保育士は、
「○○ちゃんお預かりしますね!お仕事頑張ってくださいね」
と声をかけて、子どもと一緒に保護者を見送りましょう。
難しいようなら、保護者とは玄関でお別れしてもらうのもありです。
たとえ子どもが大泣きしても、保護者とはさっとお別れするのがコツです。

スムーズにおみおくりさせるコツ
お約束の合図を取り入れる

保護者が子どもと別れるときは、「バイバイ」と降ったり、握手をしたりするなど、「お別れの合図」を取り入れてもらいましょう。
子どもが保護者と離れられないのは、「保育園に来たら、保護者とお別れをする」という決まりを理解していない、もしくは慣れていないからかもしれません。
特に、0~1歳児など年齢が低い子どもや、入園したばかりの子どもはよく当てはまるでしょう。
お別れの合図を毎日取り入れることで、「ああ、もうお別れなんだな」という決まりが分かってきます。先の見通しが付くようになるため、たとえ泣いてしまっても、切り替えやすくなるでしょう。

スムーズにおみおくりさせるコツ
保護者が迎えに来ることをしっかり伝える

保護者とお別れした後、子どもには、
「ママちゃんとお迎え来てくれるから大丈夫だよ」
と、保護者が迎えに来ることをしっかり伝えましょう。
たとえ、まだ言葉がおぼつかない0~1歳児でも、保育士の伝えようとしていることを感じ取れることもあります。
繰り返し声かけをしていけば、
「そっか、迎えに来るんだな」
と子どもも徐々に離れることに不安を抱かなくなるでしょう。

スムーズにおみおくりさせるコツ
子どもの気を引くおもちゃや遊びを上手く利用する

子どもが保護者とお別れした後に、なかなか気持ちが切り替えられないときは、子どもの気を引くおもちゃや遊びを上手く取り入れてみましょう。
音楽をかけたり、新しい手作りおもちゃを出したりして、子どもの関心を引けば、寂しい気持ちから一転、「あれは何だろう?」という好奇心が芽生えるかもしれません。
その子どもが登園する前に、あらかじめ絵本やおもちゃなどを用意して、ほかの子どもに見せたり遊んだりするのもひとつの方法です。
登園直後に、保育士やそのほかの子どもが楽しげに遊んでいる姿を見れば、保護者にとっても気持ちが引っ張られず、スムーズにお別れできるでしょう。

スムーズにおみおくりさせるコツ
ほかの子どもとチームプレー

3歳ぐらいの子どもが朝のおみおくりで泣いてしまう場合、ほかの子どもと連携するという手もあります。
例えば、泣いている子どもと仲がよい子どもに、
「○○ちゃん泣いているね…」
「お母さんと離れて寂しそうだね」
とさりげなく声をかけて、励ましに行ってもらいます。
「○○ちゃん大丈夫?」
「一緒に遊ぼう」
と友達に声をかけられれば、泣いている子どもも気分が切り替えられるでしょう。
子どもが4~5歳なら、年下の子どもに励ますようにお願いするのもおすすめです。自分は年上、という自覚があるぶん、年下の子に励まされると
「お兄さん・お姉さんだから、しっかりしなくちゃ」
という気持ちが芽生えます。

意外と大変?降園時のおみおくりをスムーズにするコツ

朝のおみおくりが大変なことは、保育士なら一度は経験していますが、じつは、降園時のおみおくりに関するお悩みも多いのです。
保護者がお迎えに来てくれたのに、「まだ帰りたくない!」と言って遊び続けてしまったり、保護者の顔を見て気分が盛り上がってしまい、帰り支度が進まなかったりするなど、朝のお見送りとはまた少し違った大変さがあります。
降園時のおみおくりをスムーズに行うコツは、どんなものがあるのでしょうか?

スムーズに降園させるコツ
時間を決めて少しだけ様子を見る

子どもは保護者がそばにいることで、甘えたい感情が一気に出てしまい、「もっと遊びたい!」とごねてしまうことがあります。
また、保護者がそばにいる安心感の中で行う遊びは、子どもにとって「いつもの遊び」とは違った楽しさがあるのです。
しかし、さすがに何時間も遊ばせるわけにはいきません。スマホのタイマーやストップウォッチを使って、子どもと一緒に遊ぶ時間を決めておきましょう。
音が鳴ったり、時間が目に見えたりすることで、子どもも気分の切り替えがしやすくなります。
「アラームが鳴ったらおしまいだからね」
と子どもにと声をかけ、指切りげんまんをすれば、子どもも「約束だから守らなきゃ」という気分になるでしょう。

スムーズに降園させるコツ
家に帰ったときの楽しみを見つける

子どもが帰りたがらないときは、保護者に今日の夜ご飯や、子どものお気に入りのテレビ番組などを聞いたりして、家に帰ったときの楽しみを伝えましょう。
「○○ちゃん、今日の夜ご飯○○だって!いいな~!」
「早くしないと、○○(テレビ番組)始まっちゃうよ!」
保護者と協力して、そんなふうに声をかければ、子どもも少しずつ帰りたい気持ちになってきます。

スムーズに降園させるコツ
友達と一緒に帰るのを提案する

ほかの子どもが帰るタイミングで、帰るのを促すのもポイントです。
「あ、○○ちゃん帰っちゃうよ!」
「途中まで一緒に帰れるように、早く準備しよう!」
と子どもに声をかければ、思わず子どもも急いで準備を始めるかもしれません。
子どもにとって、仲のよい友達と一緒に帰ることは楽しいひと時です。保護者と一緒に、子どもが楽しい気分で帰りの支度ができるよう、声をかけていきましょう。

笑顔でバイバイできるおみおくりのコツ まとめ

朝のおみおくりも、夕方のおみおくりも、一度で改善するものではありません。
子どもが少しずつ気持ちを切り替えられるように、工夫を凝らしながら長い目で見守っていきましょう。

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