ひとり親家庭のための[こども園入園対策]~シングルパパ・ママの家庭は有利なの?

ひとり親家庭のための[こども園入園対策]~シングルパパ・ママの家庭は有利なの?

子どもの預け場所として最近注目されているのが「こども園」です。ひとり親のご家庭では、保育園、幼稚園と合わせて、子どもの預け先の選択肢として検討している人も多いようですね。そこで今回は、「シングルパパ・ママの家庭はこども園の入園に有利か」ということや、子ども園に入園する前に知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。

シングルパパ・ママの味方「こども園」とは?

これまでは子どもの預け先と言えば、保育園と幼稚園しかありませんでした。

保育園・幼稚園の役割
保育園・・・家庭での保育が困難な保護者に代わって、子どもを保育する
幼稚園・・・義務教育やその後の教育の基礎を培う

役割は少し異なりますが、基本的にはどちらも「保護者が日中に子どもを保育できないときの預け先」として利用されています。
しかし昨今は、仕事などの理由で施設に子どもを預けたいというニーズだけでなく、次のようなニーズも増加しています。

  • 「働いていなくても施設を利用したい」というニーズ
  • 「小学校入学に備えて、子どもに適切な保育・教育を受けさせたい」というニーズ

ニーズが多様化する中で、「認定こども園制度」によって生まれたのが「認定こども園(通称:こども園)」です。

こども園の特徴
保育+教育が受けられる

こども園は、保育園と幼稚園の両方の側面を持ち合わせている施設です。
その主な役割は以下2つです。

  • 就学前の子どもに教育・保育を提供する機能
  • 地域における子育て支援を行う機能

こども園には、保育園と同じ0歳~5歳の幅広い年齢の子どもが入園できます。
また、0~2歳の子どもの身の回りのお世話をするという点も、保育園と同じです。
ただし、3~5歳の子どもに対しては、幼稚園のように「就学に向けた幼児教育」を行います。
そのほか、子育て相談の場や親子の交流の場を設けるといった「地域密着型の子育てサポート」を実践していることがこども園の特徴です。

こども園の特徴
保護者の就労の有無は不問!ひとり親家庭も利用できる

通常の認可保育園は、保護者が仕事をしているか、していないかによって、入園できないことがあります。
しかし、こども園は保護者が働いていても働いていなくても、子どもが3~5歳であれば利用できます。
もちろん、ひとり親家庭の子どもが入園することも可能です。

こども園の特徴
入園時には自治体からの認定が必要

こども園に入園申し込みをするときは、保育園・幼稚園と同様に、自治体からの認定が必要です。
こども園の入園希望者が定員に達した場合、選考が行われます。
選考を踏まえた上での「入園内定までのスケジュール」は次の通りです。

4月入園希望の場合
自治体に申し込み: 前年の10〜12月頃
入園選考: 翌年の1〜2月頃
選考結果の通知・入園内定: 2〜3月頃

入園を申し込む際は、申請書や必要書類を自治体に提出する必要があるので、前もって準備しておきましょう。

ひとり親家庭が知っておきたい「認定区分」とは?

各自治体では、保護者の申請書や必要書類から、「1号認定」「2号認定」「3号認定」という3区分に分けて保育の必要性を認定します。
それぞれの区分によって、利用できる施設や保育時間は異なります。
ですから、保護者にとってはこの認定区分が入園の第一関門となります。

それでは、1号認定・2号認定・3号認定の基準をチェックしていきましょう。

1号認定

年齢:3~5歳
利用できる施設:幼稚園、こども園
保育時間:4時間程度
適用基準:保護者の就労、妊娠・出産、疾病、同居する親族の介護などに該当しない
申込方法:施設に直接申し込む

1号認定が適用されるのは3~5歳なので、就学に向けた教育を受けられる幼稚園やこども園に通うことになります。
保護者の就労や病気、介護による「保育の必要性」は問われません。
申込の流れとしては、施設に直接申し込み、その後に施設から入園の内定を受ける形となります。

2号認定

年齢:3~5歳
利用できる施設:保育園、こども園
保育時間: 8~11時間(フルタイム就労を想定した場合)
適用基準: 保護者の就労、妊娠・出産、疾病、同居する親族の介護などの理由で、子どもが家庭で保育を受けられない
申込方法:自治体に申し込む

2号認定が適用されるのは「保護者の不在時間が長い家庭」です。幼稚園よりも預かり時間が長い保育園、こども園に通えます。
1号認定とは違って「保育の必要性」が適用基準となっており、施設ではなく自治体に申し込む流れとなります。

3号認定

年齢:0~5歳
利用できる施設:保育園(小規模保育園を含む)、こども園、
保育時間:8~11時間(フルタイム就労を想定した場合)
適用基準:保護者の就労、妊娠・出産、疾病、同居する親族の介護などの理由で、子どもが家庭で保育を受けられない
申込方法:自治体に申し込む

3号認定は、適用される年齢が0~5歳と幅広いのが特徴です。
1号認定・2号認定と違って、0~2歳が対象に含まれているので、保育園やこども園だけでなく0~2歳を対象とした小規模保育園を利用できます。

参考 内閣府 子ども・子育て支援新制度について

ひとり親家庭は必見!こども園は「無償化」の対象施設

2019年から「幼児教育・保育の無償化」がスタートし、こども園でも一定の条件を満たした家庭の保育料が無償化されるようになりました。
無償化の対象について詳しくチェックしておきましょう。

3~5歳児は無料

幼児教育・保育の無償化の対象となるのは、保育園・幼稚園・認定こども園などを利用する、すべての3~5歳の子どもです。
各区分の保育料は次の通りになります。

認定区分 保育料の無償化・補助
1号認定
  • 保育料は無償
  • 預かり保育料が月額1万1300円まで補助される
2号認定
  • 保育料は無償
3号認定
  • 住民税非課税世帯の子どもの場合、保育料は無償

3号認定に含まれる0~2歳児であっても、住民税非課税世帯の場合は保育料が無料になります。

参考:内閣府 子ども・子育て支援新制度について
内閣府 幼児教育・保育の無償化について
内閣府 幼児教育の無償化に関する住民・事業者向け説明資料2

ひとり親家庭(住民税非課税世帯)にはさらに軽減措置あり

第一子のほかにきょうだいがいる世帯では、第2子の保育料が半額、3人目以降は無料となります。
さらに、ひとり親家庭で住民税非課税世帯の場合は、第2子から無料となります。

参考:内閣府 よくわかる「子ども・子育て支援新制度」

こども園入園の際はひとり親家庭が優先されることも

1号認定の入園希望者が定員オーバーしている場合は、こども園が選定を行います。
選定基準は施設によって違いますが、ひとり親家庭や保護者2人がフルタイムで就労している家庭が優先されるケースもあります。

2号・3号認定の選考方法は保育園と同じ

定員オーバー時、1号認定の選定はこども園が行いますが、2号・3号認定の選考方法は保育園と同じです。
自治体が保育の必要性を踏まえた上で「利用調整」をします。

利用調整とは
自治体が定める基準に基づいて、保護者の状況(就労の有無、病気、介護などの事情)に応じて優先順位をつけ、利用する施設などを調整すること

この利用調整でも、ひとり親家庭や生活保護世帯は優先されます。
つまり、どの認定区分であっても、ひとり親家庭は優先される可能性が高いと言えるでしょう。
もちろん、自治体や施設によって判断基準が異なる場合があるので、事前にあらゆる事態を想定して入園のための準備を進めることが大切です。

参考:内閣府 よくわかる「子ども・子育て支援新制度」

ひとり親家庭がこども園に入園するためのポイント

ひとり親家庭は優先されやすいと上記しましたが、必ずしも優先されるとは限りません。
生活保護世帯や保護者が失業している場合など、ひとり親家庭以外にも「保育の必要性が高い」と判断される要因はたくさんあります。
それでは、ひとり親世帯がこども園に入園するために押さえておくべきポイントを解説していきましょう。

就労時間が長いことをアピール

時短勤務よりも、長時間勤務の方が保育の必要性が高いと審査されます。
もちろん、家庭の状況にもよりますが、すでに仕事をしている場合で長時間勤務が可能であるなら、そちらにシフトチェンジするのも一つの方法です。
ちなみに、東京都渋谷区では正社員、派遣社員、パートなどの雇用形態にかかわらず、就労時間・日数を審査の基準に含めています。

参考:渋谷区の場合

子どもを預けなければいけない「証拠」を揃える

就労証明書といった書類のほか、子どもを預けなければいけない「証拠」を集めることもポイントです。

必要書類

  • 片方の保護者と別居中の場合:離婚調停を証明する書類(事件係属証明書、夫婦関係等調整調停申立書など)
  • 生活保護受給中の場合:申請書の「生活保護の状況」欄へ記載
  • 世帯に障がい者がいる場合:障害者手帳等のコピー
  • 保護者が持病を患っている場合:主治医の意見書等

ほんの少しの差で、入園に影響が出てしまうので、不備がないように必要書類を揃えておきましょう。

認可外保育園に通うと加点になる

仕事などの理由で、すでに認可外保育園に通っている場合、保育の必要性が高いとカウントする自治体もあります。
ただ、認可外保育園の利用について重視しない自治体もあるので、あらかじめ住んでいる自治体の基準について調べておきましょう。

こども園はひとり親世帯の強い味方!

子どもが3~5歳なら、こども園は保護者が働いている・いないにかかわらず利用できます。
保育無償化の対象施設にもなっており、ひとり親世帯への軽減措置なども適用されています。
ただし、入園の際は自治体からの認定が必要です。
また、こども園の入園希望者が定員オーバーしている場合は、施設による選定が行われるため、「保育が必要である証拠」を事前に集めておくことがポイントになります。
あらかじめ自治体やこども園のホームページで情報を収集して、入園に備えておきましょう。

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