保育園や幼稚園から小学校にあがるとき、それまでとは違う生活になることに戸惑う子どもは少なくありません。
小学校にスムーズに進学するには「家庭教育」が重要です。
本記事では、子どもが小学校へ入学する前に実践すべき家庭教育を7つ解説します。
教育のポイントや配慮点もあわせてチェックしていきましょう。
この記事のもくじ
小学校入学前の家庭教育は大切!
家庭教育とは、その名前の通り「家庭での教育」です。
家族との生活を通して、子どもたちに基本的な生活習慣や社会性、情緒面の成長を促す役割があります。
就学前にいきなり指導するようなものではなく、「日々の生活」そのものなので、すでに意識して実践している家庭が多いことと思いますが、就学が迫ったら、あらためてその時期に合わせた家庭教育を実施することが必要です。
小学校は、保育園や幼稚園とは違い、「授業」があり、たくさんの子どもと時間を過ごす場所ですから、集団生活を送る中で身に付けておくべきことがたくさんあります。
つまり、これまでの生活と小学校へのギャップを軽減するために、就学前に適切な家庭教育を実践することが大切になるのです。
小学校入学前で保護者が心配なこと3選
子どもが小学校へ入学するとなると、保護者として心配なことはたくさんあると思いますが、主に以下の3つにまとめられると思います。
- 友だちとの付き合い
- 生活と発達
- 勉強・学習
小学校へ進学する子どもに予想される状況をチェックしていきましょう。
小学校入学で心配なこと①
友だちとの付き合い
年長の子どもを持つ家庭における「小学校入学に向けて/小学校生活での気がかり・悩み」で、特に多いのは「友だちとの付き合い」です(ベネッセ教育総研次世代育成研究室調査による)。
小学校には1~6年生の子どもがおり、各学年は複数のクラスに分かれていますから、関わる子どもの数がずっと多くなり、新しいクラスには知らない子もたくさんいます。
そのため、「慣れない人間関係の中で、子どもが友だちと仲よくやっていけるのか」と心配する保護者が多いのです。
小学校入学で心配なこと②
生活と発達
ベネッセ教育総研次世代育成研究室調査で2番目に多かった回答は、「生活と発達」でした。
小学校へ上がると、保育園や幼稚園とは生活リズムが変化します。
「授業」の時間はずっと椅子に座っていなければなりませんし、帰るときもお迎えを待つのではなく、ほかの子どもと下校しなければなりません。
また、小学生になると、これまで以上にコミュニケーション能力が問われる場面が多くなります。
そのため、「小学校で落ち着いて生活できるのか」「ほかの子どもより発達が遅れないか」と心配する保護者が多いようです。
小学校入学で心配なこと③
勉強・学習
小学校は集団生活の場であると同時に、「勉強する場」です。
先生はカリキュラムに沿って何十人もの子どもたちに勉強を教えるので、一人ひとりに対応する時間は限られています。
そのため、「勉強についていけるか」という不安を抱く保護者が多いようです。
小学校入学前に実践すべき家庭教育のポイントは?
前項で述べたような保護者の心配を踏まえて、小学校入学前に実践すべき家庭教育を8つピックアップしてみました。
- 基本的生活習慣
- 自分の気持ちを伝える力
- 人との関わり方
- ールやマナーを守る力
- 長時間座る習慣
- 簡単な文字の読み書きや計算
- 時計を読む
- 持ち物を準備する習慣
それぞれの必要性や、教育のポイントもあわせてチェックしていきましょう。
実施すべき家庭教育①
基本的生活習慣
まず必要な家庭教育は、基本的な生活習慣を整えることです。
- 早寝早起き
- 朝ごはんをしっかり食べること
- 排泄の自立
- 衣類の着脱
- 片付けの習慣
基本的生活習慣を整えることで、子どもの「自立心」が育まれます。
就学するにあたって、心と体の準備もできるので、新しい生活への戸惑いも軽減できるでしょう。
就学前は、朝起きる時間を「小学校へ行くときに起きる時間」に設定するのがおすすめです。
実施すべき家庭教育②
自分の気持ちを伝える力
小学校では、授業中に先生が子どもに意見をたずねるときや、友だちと一緒に遊びを決めるとき、クラスで係を決めるときなど、自分の気持ちを人に伝える機会が格段に増えます。
「○○したい」
「自分は~だと思う」
家庭でも、子どもがそのような自己主張を行う習慣を設けましょう。
大人が先回りして答えるのではなく、「○○(子どもの名前)はどうしたい?」とたずねるのがポイントです。
実施すべき家庭教育③
人との関わり方
小学校は、先生やクラスメイト、ほかのクラスの子どもたちや上級生など、たくさんの「人」と関わることになります。
その中で、子どもは次のようなさまざまな葛藤を抱えるかもしれません。
- 先生に甘えすぎてしまう
- 友だちと衝突してしまう
- コミュニケーションがうまくとれず、一人ぼっちになってしまう
もちろんこうした葛藤によって学ぶこともたくさんありますから、「すべて家庭教育で済ませておくべき」と考える必要はありません。
ただ、人との関わりがうまくいかないことが原因で、学校に対して苦手意識を持ってしまうリスクもあります。
そのため、
「相手の気持ちを考える」
「間違ったことをしたら謝る」
など、基本的な人との関わり方をしっかり家庭でも伝えておきましょう。
実施すべき家庭教育④
ルールやマナーを守る力
小学校は集団生活の場です。
授業時間や休み時間がしっかりと決まっており、授業の開始・修了にはチャイムが鳴ります。
運動会や学園祭、学習発表会など、子ども同士が協力し合うイベントもたくさんあります。
そのため、ルールやマナーを守る力や、ほかの子どもと協力する力が必要になります。
家庭では、
「挨拶やお礼を言う」
「時間を守る」
「公共の場でのマナー」
などを伝えておきましょう。
保護者がお手本になることで、子どもも自然とルールやマナーを守る力が身に付いてきます。
実施すべき家庭教育⑤
長時間座る習慣
小学校の45分間の授業では、椅子に座ってじっとしなければなりません。
慣れないうちは、45分間じっと座っていることは難しいかもしれません。
もちろん、保育園や幼稚園でも、ある程度は椅子に長時間座る習慣を身に付けていると思いますが、家庭でも定期的に椅子に座る機会を増やすことで、子どもが「椅子に座ること」に慣らしていくといいでしょう。
- 10分だけ、机に向かって絵を描く
- 椅子に座って絵本を読む
- 30分間、親子で一緒に工作する
上記のように、遊びを取り入れながら椅子に座る習慣を促していきましょう。
実施すべき家庭教育⑤
簡単な文字の読み書きや計算
「うちの子は学習についていけるだろうか」という不安がある場合は、簡単な文字の読み書きや計算を家庭でも教えておくことをおすすめします。
もちろん、そうしたことは保育園や幼稚園でも教えますが、分からない箇所、忘れてしまった内容もあるかもしれませんので、家庭でも再度教えておく方が安心できます。
知育玩具や、文字や数字に関する絵本など、道具を使って子どもが楽しく学べるように工夫していきましょう。
実施すべき家庭教育⑦
時計を読む
小学校へ上がるにあたって、かなり重要なのが「時間に対する認識」です。
小学校では、授業の時間、給食の時間、登校・下校の時間など、時間がきっちりと決まっているので、就学前に時計を読む習慣を取り入れておきましょう。
「〇時だから夜ご飯にしよっか」
「〇時〇分になったら○やろうね」
というように時間を意識した声かけを日常的に行うことが有効です。
実施すべき家庭教育⑧
持ち物を準備する習慣
小学校になると、教科書や筆記用具、給食袋など、前日のうちにさまざまな持ち物を用意して、登校することになります。
持ち物は毎日異なるので、忘れ物をしないように、普段から「持ち物を準備する習慣」を身に付けさせることが大切です。
自分で保育園や幼稚園の持ち物を用意するように声をかけたり、持ち物リストを作ったりして、習慣づけていきましょう。
小学校入学前の家庭教育で配慮すべきポイント
小学校入学前の家庭教育で配慮すべきポイントは主に3つあります。
- 「もう小学生なんだから」と突き放さない
- 時期に合わせた教育を心がける
- 各機関と連携を図る
それぞれのポイントを詳しくチェックしていきましょう。
家庭教育のポイント①
「もう小学生なんだから」と突き放さない
子どもの自立を促そうと焦り、「もう小学生なんだから」というような厳しい言葉をかけたくなることもあるかもしれませんね。
でも、そういった言葉で突き放してしまうと、子どもは誰にも頼ることができなくなり、不安を抱いてしまいます。
「困ったときは、誰かに助けを求めていいんだよ」と優しく声をかけてあげましょう。
家庭教育のポイント②
時期に合わせた教育を心がける
就学が迫ってからいきなり本格的な教育を始めても、難しすぎて身に付かないケースもあります。
子どもの成長に合わせてた教育を心がけましょう。
家庭教育のポイント③
各機関と連携を図る
就学前の家庭教育に不安や悩みがあるときは、保育園や幼稚園、専門機関に相談しましょう。
何が課題なのか、どんな不安があるのかということを明確に整理できますし、保育士や幼稚園教諭から子どもの園での様子や傾向を聞いて、家庭教育のヒントを得ることができるかもしれません。
小学校入学前に家庭教育を実践してスムーズな進学を!
子どもが安心して小学校に入学するためには、家庭教育は欠かせません。
- 基本的生活習慣
- 自分の気持ちを伝える力
- 人との関わり方
- ルールやマナーを守る力
- 長時間座る習慣
- 簡単な文字の読み書きや計算
- 時計を読む
- 持ち物を準備する習慣
上記の家庭教育を実践するとともに、時期に合わせた教育、各専門機関との連携を図りながら、適切な教育を心がけていきましょう。