社労士から見た保育所経営のトレンド ~和道経営舎 小林信宏代表インタビュー
保育所の働き方改革は
世間では働き方改革が進んでいますが、保育園という職場でもそういう機運はありますか。
IT機器の活用は、労働時間の削減に寄与しつつあります。保育園に限りませんが、昔は請求処理なども紙ベースでしたが、10年ほど前から請求ソフトを使うようになりました。勤怠、登校園管理、子どもの登校園管理のシステムと請求システムを連動させるようになって、事務方や園長先生はだいぶ楽になった。デジタル連絡帳などもだいぶ進んできて、導入する株式会社立の園も多いですね。
ただ、そうはいっても全体としてなかなか進まない理由は、保育士全員にタブレット端末を貸与できるほどの資力はないということです。「残業が長くなる理由」がパソコンの順番待ちということも珍しくなく、逆に労働時間が長くなるんです。昔はおおらかでしたから、持ち帰りも許されていましたが、今は個人情報流出のリスクがありますから、持ち帰りは基本NGです。
コロナ禍の中で、保育の仕事を在宅・リモートでできるのかということが模索されましたが、個人情報も踏まえると簡単ではありません。
保育園という場所は、出入りする人の数が半端じゃありませんからね。
大手の保育サービスでは、コロナ禍で自宅待機している子どものために、歌を一緒に歌おうというYouTube動画を配信したり、Zoomで子どもたちをつないだり、様々なコンテンツを配信したり、他園にコンテンツ販売したりしていました。あのときは本当に手探りでやっていましたね。
そのへんは進んでいる園と苦手な園の差が大きいでしょうね。
受ける親も自宅にPCがない人が多いです。スマホでは画面が小さくてよく見えない。みんなで一緒にやりたくてもデバイスがバラバラだと、参加できる子、参加できない子ができてしまうのは悩みのひとつだと思います。