保育園と学童保育の違いとは? 特徴・給料・メリットとデメリット

保育園と学童保育の違いとは? 特徴・給料・メリットとデメリット

保育園と学童保育、混同されることもありますが、じつは大きな違いがあります。
本記事では、保護者の方や、保育系の仕事に転職したい方のために、それぞれの特徴や給料の違い、双方のメリット・デメリットなど解説します。
保育士にとっては当たり前の知識ですが、基本に立ち返って読み直しても役立つように心がけて書きました。

保育園とは厚生労働省が管轄する保育施設です

まずは保育園の基本的な情報を押さえておきましょう。
保育園とは「厚生労働省」が管轄している保育施設です。主に保護者の就労や病気により、子どもを十分に養育できない場合に、保護者に代わって子どもを預かり、身の回りのお世話をします。
ちなみに「保育園」というのは通称で、正式名称は「保育所」です。
それでは保育園の目的や対象、保育士の役割を紹介していきましょう。

子どもの「保育(養育・教育)」が保育園の目的

保育園の目的は、ひとことで言うと、子どもの保育です。
「保育」とは何か?

  • 養護: 子どもが安心して生活できる「衣・食・住」を確保して身の回りのお世話をする
  • 教育: 子どもの成長に必要な知識を教える

という2つが合わさったものです。
「保育所保育指針」では、「健康・人間関係・環境・言葉・表現」という5領域に関する取り組みが定められており、オムツ替えや着替え、食事の援助などが含まれます。
生活や遊び、保育士やほかの子どもたちとの関りの中で、子どもの健やかな成長を促すことが、保育園としての機能であり、目標なのです。

保育園の種類は多種多様

保育園は市町村が運営する「公立保育園」と、社会福祉法人・学校法人、NPO法人・民間企業が運営する「私立保育園」の2種類があります。それ以外にも、保育園の運営を市町村が民間企業に委託する「公設民営保育園」もあります。
ただし、どれも保育内容に大きな違いはありません。ただ、公立保育園の場合、職員が「地方公務員」になるので、私立保育園で働くよりも全体に給料が高いという特徴があります。

また、公立・私立以外というだけでなく、次のような様々な形態の保育園があります。

  • 認可保育園: 児童福祉法に基づいた規定をクリアし、各都道府県知事に認可された保育園
  • 認証保育園: 東京独自の制度。東京都が定めた基準をクリアした保育園
  • 無認可保育園: 一定の条件はクリアしているものの認可を受けていない保育園
  • 企業主導型保育園(企業内保育室): 企業内に設置された保育園、事業の従業員の子どもが通う保育園
  • 院内保育室: 病院の中に併設された保育園
  • 認定こども園(幼保一体型): 幼稚園と保育園の両方の特徴を兼ね備えた施設

こうした保育園の形態によって、保育時間や保育内容は異なります。
保育園に就職・転職する方は、上記の違いをチェックして、より自分に合った施設を選びましょう。

保育時間や対象となる子どもの年齢

一般的な保育園の保育時間は8:00~16:30の8時間です。
延長保育の場合は朝7:15~8:00、夕方16:30~18:30というように、保育時間が伸びます。
よって1日の保育時間は基本的に11時間程度です。
中には、21:00まで延長保育を受け入れている保育園や、深夜保育を実施している保育施設もあります。
また、保育園の対象年齢は、0歳〜小学校入学前です。
施設によって対象となる年齢が違うので、事前に調べておきましょう。

保育士って何をする仕事?

保育園での保育士の役割は、子どもの保護者に代わって、基本的な生活習慣や社会性、成長に必要な知識を子どもに教えることです。
着替えや食事の援助のほか、製作や歌、外遊びや絵本の読み聞かせなどが仕事内容に含まれています。
クリスマス会やお遊戯会などのイベントの企画・運営に加えて、定期的な保護者面談なども実施します。

保育士の平均給料は?

上にも書いた通り、保育士の給料は施設形態や保育園の規模によって異なりますが、厚生労働省のデータによると、保育士の平均月収は23~24万円とされています。この金額は総支給ですから、手取りは20万円前後。平成25年度のデータでは平均月収は22万円程度でした。ほかの職種よりも給料は低いものの、年々給料は増加傾向にあります。

参考:賃金構造基本統計調査|厚生労働省

学童保育は保育園と管轄が異なる

次に、学童保育について見ていきましょう。

学童保育とは、主に放課後や長期休暇中に子どもを預かり、遊びや勉強の場を提供する施設です。
保育園と異なるのは、施設によって管轄する団体が異なるということで、基本的には「厚生労働省」「文部科学省」「民間法人」が管轄しているのが学童保育です。
学童保育は「学童クラブ」「放課後児童クラブ」と呼ばれますが、正式名称は「放課後児童健全育成事業」です。

学童保育の目的は「放課後に子どもの生活の場を提供すること」

学童保育の目的は、仕事や病気で保護者が日中自宅にいない家の子ども(学童)に生活の場を提供することです。
職員である学童保育指導員・放課後児童支援員は、子どもが自立するための成長支援・健全育成のために、子どもの宿題を見たり、おもちゃやボードゲームなどで一緒に遊んだりします。
近年は共働き家庭の増加に伴い、日中自宅で子どもと過ごせない保護者も増えています。
保護者が安心して仕事や介護に取り組むためにも、学童保育は近年重要度が高まっています。

学童保育の運営形態は主に3種類ある

学童保育の運営形態は「公設公営」「公設民営」「民設民営」の3種類に分かれています。

  • 公設公営: 自治体が設置し、運営する学童保育
  • 公設民営: 自治体が設置し、民間法人・企業に運営を委託している学童保育
  • 民設民営: 民間法人・企業が設置し、運営している学童保育

さらに、学童保育は施設によって管轄する団体も異なります。

  • 放課後児童クラブ: 厚生労働省管轄:小学校や児童館、公民館に併設されている
  • 放課後子ども教室: 文部科学省管轄:主に小学校の空き部屋に設置されている
  • 民間学童保育: 民間法人・企業管轄:習い事や学習塾などのプログラムが実施されている

このうち、放課後子ども教室は職員がボランティアなので、基本的に利用料はかかりません。ただ、放課後児童クラブと民間学童保育は有料です。
民間学童保育は、独自のプログラムを実施していることもあり、放課後児童クラブよりも利用料が高めに設定されています。

保育時間や対象となる子どもの年齢

一般的な学童保育の保育時間は、授業終了後~17:00です。
延長保育として、18:00~19:00あたりまで子どもを預かる施設もあります。
中には、21時まで子どもを預かって、夕食を提供する学童保育もあるようです。
児童法では、学童保育の対象は「おおむね10歳未満の留守家庭の小学生」と定められていましたが、2015年度に新制度が発足し「留守家庭の小学生」と変更されました。つまり、小学1年生~6年生までが対象です。

学童保育の職員って何をする仕事?

学童保育は無資格でも働けます。
ただし、多くの学童保育では、保育士や社会福祉士の資格を職員の採用条件として定めています。
学童保育で働く職員は一般的に「学童指導員」と呼ばれていますが、実際にはそのような名前の資格はありません。
2015年に、学童保育にまつわる専門資格として「放課後児童支援員」がつくられました。学童保育で、2人以上の放課後児童支援員を配置することが義務づけられたことから、この資格を取得する職員が増えています。

学童保育の職員の具体的な仕事内容は次の通りです。

  • 宿題を見る
  • 一緒に遊ぶ
  • 子どもの送迎
  • 連絡カードの記入
  • 経理
  • 職員会議
  • おやつの提供

施設によっては、夏祭りやお誕生日会などのイベントの企画・運営も実施します。

学童指導員の平均給料は?

学童指導員の平均月収は、一般的に月収19~20万円と言われています。
地域手当や資格手当などがこれに加えられますが、保育園よりも若干給料が低い印象です。
ただ、アルバイトの場合は時給1200円以上のケースが多く、短時間勤務には適しているでしょう。

保育園や学童保育で働くメリット・デメリット

最後に、保育園や学童保育で働くメリット・デメリットをまとめます。

保育園で働くメリット・デメリット

保育園で働くメリットは、「子どもの成長を側で見守れること」です。
子どもとの距離が近いので、やりがいも感じられるでしょう。学童保育よりも給料が高いのも大きなポイントです。
一方、保育園は業務内容が多く、体力的にも精神的にも負担が大きいというデメリットがあります。残業や持ち帰りの作業も少なくありません。ただ、子どもとの密な関りを希望する方にはぴったりです。

学童保育で働くメリット・デメリット

学童保育は保育園と比べて保育時間が短いので、子どもと適度な距離感で関われるということがメリットです。
経理作業や管理作業などの業務はありますが、保育園よりも作業量が少ない傾向があるので、無理なく続けられるでしょう。
ただ、保育園と比べると給料が低く、子どもとの関りが薄くなります。とはいえ、乳児や幼児ではなく、小学生と関われる点は大きな魅力です。

以上のように、保育園と学童保育は、共通する点もありますが、多くの違いがあります。
保護者の方はそれぞれの特徴を理解し、転職を考えている人は、給料の違いやメリット・デメリットを踏まえて選びましょう。

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