多くの保育士が思い当たるヒヤリハットから、見落としてしまいがちなヒヤリハット事例を集めてみました。安全に保育を進めるための参考にしてください。
給食の際の保育園ヒヤリハット
アレルギーの子どもがほかの子どもの給食を手づかみ
アレルギーの子どもと、アレルギーを持たない子どもが同じテーブルで給食を食べていたところ、保育士がほかの子どもの食事の援助をしているときに、アレルギーの子どもがほかの子どもの給食を手づかみで食べようとする。気付いた保育士が制止。席を離して様子を観察。
給食の具をのどに詰まらせる
給食でカレーが出た際、1歳児が具材のジャガイモをのどに詰まらせる。保育士が1歳児の背中を叩くと、1歳児がジャガイモを吐き出す。ジャガイモは1歳児にしては大きいサイズだった。その後は具材を細かくして様子観察。
よく噛まずに次々と食べ物を口に詰め込み吐き出す
給食の時間、食欲旺盛な1歳児がよく噛まずに食べ物を詰め込み、吐き出す。保育士が背中を叩き、1歳児の口に入っているものを手でかき出す。少しずつ食べられるよう、援助をしながら様子観察。
お散歩中の保育園ヒヤリハット
散歩の途中で列からはみ出し、自転車と接触しそうになる
散歩の途中、3歳児が隣の子どもと手をつながず(通常、散歩時は2列になって、子ども同士が手をつなぐ)、列からはみ出た際に、前方から来た自転車と衝突しそうになる。自転車が3歳児を避けたため、事故には至らなかった。3歳児に列からはみ出さないようにと注意を促す。
散歩の目的地の公園で、子どもがライターを触る
散歩の目的地である公園で、置き忘れられたタバコやライターを4歳児が触る。保育士が制止し、タバコとライターを処分。今後は目的地到着時のチェックを徹底する。
1人の2歳児を放置したまま散歩から帰りそうになる
散歩の目的地である公園から、保育園に帰ろうとする際、保育士が点呼で人数を数え間違え、1人の2歳児を公園に残したままほかの子どもを連れて帰ろうとする。5歳児の「○○ちゃんがいない」という声で足を止めて、再度公園内を確認。1人の2歳児が取り残されていた。今後は正確な点呼を心がけるとともに、保育士間での確認を心がける。
園内設備に関連する保育園ヒヤリハット
遊んでいる最中に滑って転倒
園庭で複数の園児と鬼ごっこをして遊んでいる最中に、ぬかるんだ土の上を走って滑り、転倒。擦り傷はあるが血は出ていない。ただ「膝が痛い」と泣いているため、膝を洗って絆創膏で処置。
ブランコの留め具が外れて3歳児が落下
園庭のブランコの留め具が外れ、乗っていた3歳児が落下する。3歳児は背中を強打し、声を出さずに泣く。病院へ連れて行ったところ、首に打撲傷。今後は遊具の点検を徹底する。
園庭の柵を子どもが通り抜ける
園庭の柵の隙間を1歳児が通り抜け、保育園の外へでてしまう。側にいた保育士が駆け付け、1歳児を確保。ほとんどの柵の間隔は○○cmだったが、均等になっていない部分(○○cm)があった。業者を呼び、再整備。
保育室の壁の角に3歳児が頭をぶつける
保育室の壁の角に3歳児が頭をぶつける。赤くなっていたのでアイシング。壁の角にL字型クッションを設置し、様子観察。
顔を上げた瞬間に棚に頭をぶつかる
保育室で自由遊びをしていたところ、おもちゃの棚をのぞいていた1歳児が、顔を上げた瞬間に棚の上段に頭をぶつける。ぶつけたカ所が小さく腫れていたため、アイシング。
小さなおもちゃの部品を誤食
保育室の隅の方に、破損したおもちゃの部品が床に転がっていた。室内で自由遊びをしていたこところ、0歳児がそれを見つけて口に含む。飲み込んではいなかったためすぐに取り出した。
お昼寝中の保育園ヒヤリハット
長時間子どもがうつ伏せで寝ていた
午睡時間中、長時間うつ伏せで寝ている子どもがいた。保育士がほかの子どもの寝かしつけに気を取られていたため、午睡チェックが送れた模様。今後は周りの保育士と連携して午睡チェックを徹底する。
室内の気温が高く、子どもが熱中症に
室内の気温が高く、子どもの体温が上昇。顔が熱く、汗をかいていた。換気した後、クーラーをかけると、症状が落ち着たので様子観察。今後は室温調整の徹底を心がける。
午睡中に子どもがタオルを口にくわえてえずく
午睡中、子どもがタオルを口にくわえながら寝ており、その後えずく。保育士が子どもの口からタオルを離し、様子観察。その後、タオルが顔にかからないように配慮。
連絡ミスの保育園ヒヤリハット
保育士間の伝達ミスにより子どもの体調が悪化
微熱と腹痛のため、早帰りになった子どもを非常勤の保育士が遊びに誘い、遊んでいたところ、子どもの体調が悪化。非常勤の保育士は午後からの出勤であった。子どもの体調について周りの保育士から伝達がなかったことが原因である。その後、子どもは嘔吐し、高熱を出す。担任保育士が保護者に謝罪し、子どもの状態を説明。今後は保育士間の情報共有を徹底する。
子ども同士のトラブルを保護者に伝達せず、保護者間のトラブルに発展
3歳児のRとJがおもちゃの取り合いでお互いを引っかき合い、担任保育士が制止。その後、担任保育士は半休のため帰宅。もう一人の担任保育士は帰宅した担任保育士からRとJのトラブルの話を聞いておらず、RとJの保護者に何も伝えないまま降園の対応をする。その後、Rは自宅で保護者にJとけんかしたことを伝え、Rの保護者がJの保護者と接触。後日、2人の担任保育士がRとJの保護者に謝罪。
保育士間で情報共有をせず、トラブルが再発
新入社員の保育士が、室内で0歳児を見守っていたところ、0歳児がおままごとのおもちゃを口に入れる。おもちゃはサイズが小さく、0歳児の口にたやすく入った。新人保育士は0歳児の口からそのおもちゃを取り出したものの、周りの保育士には共有しなかった。後日、ほかの0歳児がそのおもちゃを口の中に入れて、えずくというトラブルが発生。今後はトラブル再発を防ぐため、ヒヤリハットの報告書の作成や日誌などで情報共有を徹底する。
子ども同士のトラブルのヒヤリハット
続いては「子ども同士のトラブル」に関するヒヤリハット事例をご紹介します。
保育園では何人もの子どもが同じ空間で生活するため、ときには接触やけんかをしたりすることもあります。事例を参考に、どんな環境の中でヒヤリハットが発生してしまうのかをチェックしていきましょう。
おもちゃの取り合いでひっかく
室内遊び中、車のおもちゃで遊んでいる園児Aに園児Bが近づき、園児Aから車のおもちゃを取り上げる。Aはおもちゃを取り返そうとするが、Bが渡さなかったため、おもちゃを持つBの右手の甲をひっかく。赤く跡が付いていたため、アイシング。
狭い空間でもつれて噛みつき
室内の絵本コーナーに園児たちが密集していた。園児Cが室内で絵本を読んでいたところ、近くで絵本を読んでいた園児Dとぶつかる。Dが動かずにいるとCがDの体を押す。その後もみあいになり、CがDの左肩に噛みつく。かすかに赤く跡が付いていたため、洗ってアイシング。
言い合いの末、木に衝突
外遊びの際に、園児Eが自分との遊ぶ約束を忘れていた園児Fをののしり、言い合いに発展。EはFと向かい合い、Fの体を強く押す。Fは後ろの木に後頭部をぶつける。腫れていたためアイシング。
[保育ヒヤリハット集]の役立て方
今回の記事の内容を一覧にまとめました。
保育園のスタッフで共有したり、話し合ったりするときに役立ててください。
また、こうした保育のヒヤリハットが起こってしまったら、どうすればいいのでしょう。
単に、同じことが二度と起こらないように注意すればいいということでしょうか。
もちろん気を配ることは大切ですが、問題は、「なぜそれが起こったのか」ということです。
「皆さん気をつけましょうね~」と申し合わせるだけで放置してしまうと、いつかヒヤリハットではなく本当の事故に結びついてしまうかもしれません。
ぜひ次の記事を参考にしてください。
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