カリスマインタビュー

ICT化によって、安心して子どもを任せられ、保育に専念できる保育環境を作る ~株式会社ビズウインド インタビュー

ICT化によって、安心して子どもを任せられ、保育に専念できる保育環境を作る

保育士をはじめ保育園で働く人々は多忙です。さまざまな事務作業のために子どもたちと過ごせる時間が十分にとれないことも多くあります。株式会社ビズウインドが提供するクラウドサービス「ママれん!シリーズ」は園長や保育士の日々の業務負担軽減を目的とした、システムサービス。多くの保育園様のご要望を取り入れ、10年以上の稼働実績を誇ります。開発のきっかけや保育の現場での悩み、導入の壁などについて、社長室・営業企画部課長の迎信義さん、システム開発部の山村孔希さんに伺いました。

保育業界のためにシステム開発会社ができること

保育ネクスト
貴社のご紹介をお願いします。

当社は2005年に設立して、システム開発とSES派遣が主事業です。また、オフショア開発ではフィリピンとベトナムのラボを活用して開発業務を行っています。直近ではマイクロソフトの統合業務アプリケーション「Dynamics 365 Sales」「Microsoft 365」など、CRMやテレワーク環境の構築・導入支援を行っております。特定の業界に偏らず、幅広いお客様がいらっしゃいます。

保育ネクスト
「ママれん!」を開発することになったきっかけを教えてください。

当社代表の倉持の奥様が保育士で、当初お付き合いがあった法人様とのお話し合いの中で受託開発として連絡システムを作ったのが始まりです。当時は類似のサービスもほぼなく、2、3社ほどでした。
今では社会課題解決ということを掲げて、「ママれん!メール」「ママれん!ノート」「ママれん!シフト勤怠」とパッケージ化してサービス展開しています。おかげ様で、シリーズの導入実績は200施設を超しました。

ママれん!サービスのラインナップ
ママれん!サービスのラインナップ
保育ネクスト
当初の依頼で、解決したいという保育士さんの悩み、困りごとはどのようなものでしたか。

たとえば、朝、子どもの具合が悪い等、保護者様が電話でお休みの連絡をするわけですが、一斉にそういった連絡が来ることで、園は対応業務に追われて大変苦労しています。また、保育園から保護者様への連絡も、電話では一斉に連絡できません。そういった連絡を効率化できる手段はないかというお悩みでした。

保育ネクスト
保育士さんの仕事環境についてどう思われましたか。

保育士さんが大変なのは、一日の業務量が多く、その内容は多岐に渡ることです。ひと段落つくと思える昼食後に子どもを寝かせるタイミングでさえ、寝ている子どもの様子をこまめに確認しなくてはいけないし、その間に児童票や連絡帳のお返事などを作らなくてはなりません。帳票にかかりきりなると、子どもに目を向ける時間が少なくなり、保育の質も下がってしまいます。それらを考えると、保育士業務はオーバーワーク気味で、とても大変だと思いますし、何とか効率化を図れればと思います。

効率化によって、子どもと向き合う時間を作れる

「ママれん!」ホームページから
「ママれん!」ホームページから
保育ネクスト
最初にリリースしたのは「ママれん!メール」ですね。

保護者様ごとにマイページを持っていただき、こういう理由で休むとか今日は早く迎えに行きますといった連絡を入力してもらうと、管理画面で連絡の内容が表示され一元管理できます。また、保育園からの一斉連絡メールも開封確認ができますので、ちゃんと伝わっているか把握できます。
保育園として大きなニーズがあるのは、登降園の管理や延長保育料金の計算ができるプランで、導入数も一番多いです。保護者様との延長保育料金のトラブルを未然に防げる内容になっています。

保育ネクスト
「ママれん!ノート」というのは?

保育士さんの業務のひとつに、帳票作成があります。「ママれん!ノート」は園児の情報の管理、園児台帳をPC上で管理できます。指導計画や、日誌、連絡帳、保護者様とのやりとりも、このシステムの中で作成・管理・共有できます。

保育ネクスト
従来に比べると大変な効率化になりますね。

保育園の業務内容をヒアリングしながら、現場の保育士さんと一緒にシステムを作っていきました。現場の声を反映しているので、同じ用途で、例えば介護などの業界でも同じシステムを活用していただけるのではないかと思います。

保育ネクスト
事務仕事の時間を削ることで保育を効率化できると。

はい、実際に時間が短縮できた、効果が出たという保育士さんの声をいただいています。しかし、確かに効率化によって子どもと向き合う時間を作れるわけですが、一方では、ICTツールによって保育の質が低下するという指摘もあります。
例えば、ワード予測で指導計画を簡単に作れるというシステムがあるのですが、そういったシステムを導入した園が作る指導計画はどこも同じようなものになって園の独自性が見出せなくなったという声を耳にしたことがあります。
我々もそれを聞き、効率化すればいいかというとそうでもないと学びました。各園の指針をちゃんとシステムの中に取り入れ、保育士がそれを確認、理解して実行できるようにならなくてはいけないと考えています。
当社のシステムは各園の要望も踏まえて、単に業務を効率化するだけでなく、同時に各園の保育の質を高める効果も見出せるようなシステム作りを心掛けております。

保育ネクスト
園児や保護者の反応はいかがでしょうか。

延長料金に関しては打刻できちんと管理されるようになったのでトラブルはなくなりました。
実際にある保育士さんから聞いたことですが、ある保護者様に対して、お子さんの送り迎えの際に、仕事が忙しいせいなのか、どこかお子さんに無関心なように感じていたそうです。それが「ママれん!ノート」導入後は、アレルギーのことなども含めて子どもの情報をマイページから共有・更新できるようになったのがきっかけで、その保護者様は自身のお子さんに気づきや興味づけなど接し方も変わってきたそうです。

今、保護者様が最も不安なのは、地震や新型コロナのような緊急連絡がどうなっているかということなのですが、「ママれん!メール」で常に連絡体制がとれているので安心できるという声もいただいています。

保育ネクスト
開発する上で悩んだことはありますか。

弊社はシステム会社ですから、例えば「アンケートをとりたい」といったご要望があれば、それに合わせてシステムをカスタマイズできるのです、しかし各園の要望や帳票書式は様々ですので、どこまで対応するかということが一番苦労する点です。なるべくすべてに応えたいのですが、クラウド上のサービスですので、利用している他の園のオペレーションに影響が出ないようにシステム改修する必要があるのです。
また、予算費用もどうしてもかかりますから、補助金で導入される園が多い中で追加費用を投資していただけるか、費用対効果を確保できるかという話し合いも必要になります。

保育園のICT導入を阻む壁

システム開発部の山村孔希さん(左)、社長室・営業企画部課長の迎信義さん(右)
システム開発部の山村孔希さん(左)、社長室・営業企画部課長の迎信義さん(右)
保育ネクスト
導入は保育園同士の紹介が多いのでしょうか。

一番多いのはお問合せですが、ご紹介も多くいただいております。当社は保育推進連盟の賛助会員でして、システムは連盟の推奨を受けており、先生方から紹介いただいたりすることもあり、業界では知名度もありますので、ご用命いただくことが多いです。

保育ネクスト
導入に前向きな保育園に何か特徴はありますか。

経営層の方は、課題解決のために導入することに意欲的に感じます。ただし、現場の導入に対する負担も考えなくてはいけません。現場の課題解決を考え、現場と経営者が連携し、課題解決に取り組まれているご施設は、特に前向きにご検討いただいております。

保育ネクスト
園の経営者としては、離職率を下げたり求人が増えたりという効果を期待するでしょうね。

正確に把握していませんが、そういった声は聞きます。今後、各施設が他園との差別化を図らなくてはいけないと言われていますので、ホームページでのアピールやICT導入には前向きな園が多いです。ICT導入は、保育士さんにも保護者様に対しても効果をアピールできると聞きます。

保育ネクスト
システム開発会社としては、保育業界のIT化は他業界よりも遅れていると思われますか。

システムやサービスの開発といった部分では進んでおりますが、導入に対して言いますとまだまだ課題は多いかと思います。補助金に関してや導入の方法(サポート)など、よりIT化を進めるための補助材料はより必要かと考えております。

保育ネクスト
ICT化を進める予算が導入の壁になっている面もありますか。

自治体にもよりますが、基本的には国のIT導入補助金を活用して導入できます。ただし、その頻度や補助対象の範囲はもう少し選択肢が多い方がよいと考えております。

保育ネクスト
保育士さんのITリテラシーはいかがですか。

ITリテラシーは業務のシステム化において、大きな課題の一つです。都内は比較的若い方が多く、ICT環境が整っている園も多いので、通常業務とシームレスに対応していただけることが多いように見受けられます。しかし、園児数や保育士の年齢層によっては、従来の手作業のほうが早いと感じることがあると聞きます。

保育ネクスト
今、保護者はほぼ全員スマートフォンを持っているのでしょうか。

祖父様、お祖母様の保護者様はガラケーであることも多いのです。なので我々としても完全アプリ化ではなく、インターネットブラウザで操作する仕様にしております。

「ママれん!メール」無償提供でICT化を支援

登校園管理くん
登校園管理くん
保育ネクスト
要望が多くて追加した機能などはありますか。

不具合や操作説明、またそれ以外にも様々なご要望をサポートセンターにいただきますので、随時検討しており、改修で対応できるものは更新しています。クラウドサービスですから、より使い勝手が良いように日々アップデートしておりまして、現場のご要望には比較的幅広く対応できていると思います。
例えば、今、新型コロナウイルス感染症の関係で役所から複数のデータが来ることが多く、メールに添付できるのが一つだけなので、何回も送らないといけないのが不便という話があります。そこで、複数データを添付できるようにするなど、細かい仕様も含めて必要性のある追加機能を日々検討しています。

保育ネクスト
新型コロナ感染拡大下の保育園の状況はどうでしょうか。

連絡事項が増え、おもちゃや室内などのアルコール消毒などの通常作業以外の対応も増えています。イベントが全部中止になった際の、その連絡をはじめ、代わりの計画を立てなくてはいけなくて困っているという声をよく伺います。
そこで、我々のできることとして、メール配信の機能を無償で提供させていただいています。
ICT導入には、リテラシーや予算など様々な壁があるのですが、導入サポートや、メール機能の無償提供をきっかけに、保護者様も安心できる設備を園が整えることをご支援できればと思っております。

保育ネクスト
保育の仕事というのは、非対面・非接触では難しいでしょうね。

今のところ当社の顧客では聞きませんが、リモート保育をしている園もあります。お子さんのメンタルケアという点では良いと思います。また、保育自体ではありませんが、忙しい園長様が各園での打ち合わせをリモート化し、事務方の仕事をテレワークにするということもあると思います。
テレワークについては、各施設で書式がばらばらでファイル管理やデータ修正が大変だったり、現地まで打ち合わせで移動しなければならないのを効率化したり、統制化したいというご要望はいただいており、対応しています。
テレワークのご支援、顧客管理や営業支援等は弊社としても積極的に行っていきたいと思います。

保育ネクスト
最後に、今後の展開について教えてください。

保育園に対しては、まだまだ導入支援が重要だと思っています。システムの種類はある程度揃ってきましたが、いろいろな問題を抱えているためになかなか導入に踏み切れない園も多いので、そういったところをサポートしながら、ICT化の活性に努めていきたいです。
また、この「ママれん!」の仕組みを他業界でもお役に立てるよう展開できればと思います。

社名 株式会社ビズウインド
住所 〒101-0053 東京都千代田区神田美土代町9-17 日宝神田淡路町ビル4F
主事業 Technology(受託開発等)/Global Solution(オフショア開発、ハイブリッド開発)/SPS(社会問題解決等)
加盟団体 日本保育推進連盟、NPO法人児童虐待防止ネットワーク、子育て応援とうきょう会議、一般社団法人日本こども育成協議会、日本子ども子育て支援センター連絡協議会 等
ホームページ https://www.bizwind.co.jp
取材日:2020年8月18日
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