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自由保育は設定保育とどう違うの?メリット、デメリット、保育例

自由保育は設定保育とどう違うの?メリット、デメリット、保育例

最近、保育士の中で、「自由保育」が注目されています。
子どもを自由に遊ばせる保育法で、いわゆる「設定保育」の対極として位置づけられています。具体的にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
今回は、自由保育のメリット・デメリット、設定保育との違いのほか、保育士が自由保育の保育園・幼稚園に転職する際の注意点をご紹介します。

自由保育とは?保育例や一斉保育との違い

ほとんどの保育士は、「自由保育」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、実際にどのような保育なのかまではあまり知らない人も多いかもしれませんね。
自由保育の内容や保育例、一斉保育との違いを解説していきます。

自由保育とは、子どもを自由に遊ばせる保育

自由保育とは、その名前の通り「子どもを自由に遊ばせる保育」です。
「自主選択保育」や「選択性保育」とも呼ばれることもあります。
保育士は、子どもたちが自由に遊べるような環境を作り、子どもたちが自ら進んで遊ぶ様子を見守ります。
とはいえ、「何もせずただ見守る」というわけではなく、必要があれば、きちんと援助を行います。
たとえば、自分で遊びを見つけられない子どもにそれとなくヒントを教えたり、子ども同士のトラブルの仲介に入ったりすることもあります。
自由保育といっても、すべてが自由なわけではありません。
限られた時間、場所など最小限のルールの中で、子どもと相談しながら(あるいは子ども自身に考えるよう促しながら)、その日の保育内容を決めていくのが自由保育です。
こうして子ども自身が選択していくうちに、考える力や自主性が身につくのです。

自由保育と設定保育との違い

最初に書いたように、自由保育は「設定保育」の対極の保育法として位置づけられます。
設定保育というのは、指導案や月案、週案などの保育園のカリキュラムに基づいて計画された保育法で、多くの保育園で取り入れられています。
いつどんな活動をするのかがきっちりと決められており、主に集団で活動することが多いので、「一斉保育」とも呼ばれています。
自由保育が「子ども一人ひとりの」の自由な遊びを展開するのに対して、設定保育では、運動遊びや製作など、あらかじめ決められた保育内容をクラス単位で展開します。
設定保育では、保育士は保育計画に従って保育を展開するので、指導案の作成や保育の準備などを事前に済ませておかなければなりません。
ただし、設定北のほうが保育の見通しが立てやすいという一面があります。集団で活動することにより、子どもの協調性や社会性も育めるというメリットもあるでしょう。
しかし、子どもの自由が制限されてしまうことや、子どもが保育士の指示を待つ姿勢になりがちというようなデメリットもあるので、設定保育においても、できるだけ子どもの主体性を意識した配慮が重要です。

自由保育の保育例

ひと口に自由保育といっても、設定保育との線引きは難しく、実際の保育内容は施設によってさまざまです。
午前中は設定保育、午後は自由保育というように、設定保育の両方を取り入れている保育園もあります。
自由保育の保育例を少しご紹介します。

  • 「造形コーナー」「絵本コーナー」「観察コーナー」などコーナーを区切って子どもが好きな遊びを展開
  • 子どもの発達に合わせたおもちゃを用意(モンテッソーリ教育の教具を含む)して、子どもに選んでもらう
  • 午前中は自由に外遊び、午後は自由に室内遊びを展開

自由保育を取り入れている保育園の中には、「コーナー保育」や「モンテッソーリ教育」を上手く融合させているところもあります。
また、野外と室内で場所を分けて自由保育を展開するところもあるので、保育園ごとの特色が反映されやすい保育法ともいえるでしょう。

自由保育の3つのメリット

次に、自由保育にはどのようなメリットがあるかをご紹介します。

子どもの主体性を育む

自由保育は子どもの意思を尊重する保育です。このため子どもの主体性や自主性を育くむことができます。

  • どんな遊びをするのか
  • どのぐらいの時間遊ぶのか
  • どこで遊ぶのか
  • 誰と遊ぶのか
  • 何を使うのか

一斉保育では、どうしても子どもが保育士の指示を待つことが多くなってしまうので、「自分で考える力」が育ちにくくなってしまいますが、自由保育では、子どもが遊びの中で自らさまざまな選択をする結果、自分で考えて実行する力が身につきます。
考える力は、大人になっても必要です。
「自分が興味のあること」
「好きなこと」
「誰と一緒にいたいか」
このようなことをしっかりと自覚し選択することで、より自己像が明確になります。
子どもが自分らしく生きるためにも、自由保育は有効です。

子どもが興味・関心を持つ遊びを伸び伸びとできる

自由保育では、子どもが遊びを選択できるような環境設定が行われています。
たとえば「工作コーナー」「絵本コーナー」「プレイルーム」など、保育室をコーナーごとに分けている保育園もあり、それによって、子どもが伸び伸びと興味・関心のある遊びを展開できるようにしています。
好きな遊びを思う存分できることで、子どもは充実感や満足感を味わえます。
「○○をしなさい」と強制されず、余計なストレスを感じずに楽しく一日を過ごせるでしょう。

遊びを通して友達の輪が広がりやすい

一斉保育では、あらかじめ班やグループが決められていて、集団で活動することが多くなります。
これに対して、自由保育では子どもが遊び相手を自分で決められるので、友達の輪が広がりやすくなります。
自分で友達を誘ったり、ときに衝突したりしながら、子どもは人との関わり方を学んでいきます。

自由保育の3つのデメリット

次に、自由保育のデメリットについても紹介しますね。

どこまで自由にするのか「線引き」が難しい

自由保育で働く保育士が悩みがちなことがあります。
「どこまで自由にするべきか、線引きが難しい」
そんな相談が多く寄せられています。
自由保育では子どもの主体性を重んじる保育法ですから、子どもに過剰に干渉することはNGです。
子どもが何かに困っていても、保育士は、子どもが自分で誰かに助けを求めるまで見守ったり、子どもが自分で解決策を見つけるように少しだけ援助したりするといった心がけが求められます。
また、あらかじめ子どもに時間や場所の使い方などのルールを伝え、話し合うことも重要になります。

子ども同士のトラブルが増える

自由保育では、遊ぶ内容も相手も、子ども自身が決めるので、子ども同士のトラブルも当然のように増えます。
「遊びに誘ったのに断られた」
「おもちゃを取られた」
子どもは遊びの中でさまざまな壁にぶつかることになります。
しかし、これは子どもが成長するうえで必要なステップとも考えられます。
保育士は子ども同士の関りを見守りつつ、必要があれば介入できるようつねに目を光らせている必要があります。

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子どもがけんかを始めたらどうすればいい?

集団での活動に馴染めなくなる可能性も

保育業界では、まだまだ設定保育の方が一般的です。
設定保育によって協調性や社会性を身に付けることで、就学においてもスムーズに馴染んでいけるメリットがあります。
一方、自由保育では子ども一人ひとりが好きな遊びをするので、就学の際に、これまでの環境とのギャップに苦しんでしまうケースもあります。
このため、就学前に設定保育に切り替える保育園もあります。

自由保育の保育園・幼稚園に勤務するときの注意点

転職や保育園の方針変更によって、自由保育の保育園・幼稚園に勤務することになったら、保育士はどのような点に注意すべきでしょうか。

どこまで「自由」なのか

「自由」の度合いは保育園の方針によって異なりますから、どこまで「自由」なのか、事前にチェックしてきましょう。

  • きちんとコーナー保育がされているのか
  • 設定保育も取り入れているのか
  • 1日の中での自由遊びの割合

転職する場合には、この項目を保育園の公式サイトなどでチェックするといいでしょう。

保育園・幼稚園が掲げる保育観に共感できるか

どんな意図があって自由保育を選択するのかは、施設によって異なります。
子どもの「考える力」を重んじているのか、それとも個性を伸ばすためなのか、保育園・幼稚園が掲げる保育観や理念に共感できるかどうか、といったことも知っておきたいポイントです。

保護者からの理解度

自由保育の保育園や幼稚園で働く場合は、保護者からしっかりと理解を得ることが重要になります。
ほとんどの保護者は自由保育の知識をもっていませんし、「自由保育=ほったらかし」という固定概念を抱く方も多いでしょう。
自由保育の保育園・幼稚園で働く保育士は、園の見学や説明会などでしっかりと保護者に説明し、理解を得る必要があります。それにより保護者からの信用度も変わってきます。

自由保育は子どもの主体性を尊重する保育!

自由保育は子どもの主体性や自発性を尊重する保育です。
子どもが遊びを選択できる環境を整えながら、子どもを見守ることが保育士の役割です。
自由保育を取り入れている保育園や幼稚園は複数ありますが、園によって自由の度合いも保育観も異なります。
もし自由保育を行う保育園・幼稚園に転職する場合は、事前に下調べをしてあなたに合った職場を選ぶのがいいでしょう。

参考:厚生労働省「子どもを中心に保育の実践を考える」

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