保育士を含めて、働きながら子育てや家事を両立し生活していくスタッフはたくさんいます。
働く人々の健康面改善、そして働きやすい職場を実現するために企業が取り組む福利厚生のサポート、健康経営への取り組みとして注目されているのが、「置き社食」という取り組みです。
群馬県のエッサンスキッチンは100円で食べられる置き社食「ESキッチン」の事業を展開し、導入企業が相次いでいるとのこと。置き社食とはどのようなものか、そして食にこめた思いについて、代表の細野烈氏に伺いました。
新聞で紹介、アンテナの高い経営者が次々導入

東洋ケアサービス株式会社という医療用品の会社を親から引き継ぎ、順調に伸びてきたので、次のステップとしてスタッフが定着する福利厚生策を模索していました。福利厚生の充実は会社の発展になくてはならないものであり、今後も重要性が増すと考えていたからです。
いろいろ聞いてみますと、スタッフにはワーキングマザーや共働きの方などがいますが、それぞれの事情で「食」の悩みを抱えていることがわかりました。
そこで、企業経営者の福利厚生充実の思いに寄与でき、働いているスタッフからも喜ばれるサービスを食で支援するという観点で、当社オリジナルの100円社食「ESキッチン」という事業モデルを作り、エッサンスキッチンという新会社を立ち上げました。
今、どこの企業の経営者様も福利厚生を充実させたいという思いをもっています。「ESキッチン」の仕組みは働く人と企業の双方にとってWIN-WINのビジネスになると考えています。

毎月です。最近流行りの食事のサブスクリプションですね。

はい、提携している食品会社が全国に何十社もありますので、そこから当社のピッキング工場に運び、荷詰めして全国にクール宅急便で送っています。自社の冷蔵便もありますので、一部は群馬に関しては自社で配送しています。


はい、じつは4月にオープンしたばかりなので、ちょうど新型コロナウイルス感染症の影響とぶつかり、ほとんど営業活動をできていないのですが、4月、5月で20社様から引き合いがありました。

それもあると思いますが、従業員のことをしっかりと考えている経営者様は、福利厚生関係の情報に対するアンテナを高く張っていることが多いのだと思います。
当社の取り組みは群馬経済新聞の一面でも紹介していただき、それを見た企業様から問い合わせをいただいたことが大きいと思います。

導入する企業の経営者様は、皆さん、福利厚生を充実させたいと考えていらっしゃいます。
従業員を大切にしたいという思いから福利厚生を充実させる経営者の方は、どちらかというと比較的若く、多方面にアンテナを張っている方が多いという印象ですね。最新の動向や流行、流れに敏感な経営者の方がが導入してくださっていると感じています。

当社の「ESキッチン」は従業員3名から導入できるミニマムプランがあり、小さな事業所様でも導入しやすいようになっています。現状では、大体20名ほどの企業様が多いですが、 もちろん1000人規模の会社様でも対応できます。
業種でいうと、医療関係、工場関係、あとはホテル、旅館関係などのお客様が多いですね。

おっしゃる通り、ご自分のところでも作れるのですが、実際はスタッフの休憩時間がバラバラなので、その都度、料理長が賄いを作るのは大変ということがあるようですね。

そうですね、仕出しの弁当も良いものですが、「ESキッチンは」は、仕出し弁当にプラス1品野菜を追加したり、揚げ物が多いから魚を1品プラスしたり、という使い方ができるので、仕出し弁当屋さんとも共存できるサービスなんです。
「ESキッチン」メニューのこだわり

和食の総菜だけでは飽きてしまいますから、アジアン系、中華料理、イタリアンなど世界の料理が出せるように工夫しているということです。
メニュー数は20品目あるのですが、飽きが来ないように毎月10品は新しいメニューに変更しており、2か月に一度はメニューが全部入れ替わるようになっています。
もちろん、全部100円です。

レトルトと真空調理の2種類の保存方法があるのですが、当社では保存料を一切使わず、真空調理で低温殺菌をして、長い時間をかけて調理をしています。調理済みのものは第三者機関に全品菌検査を依頼しており、3か月間菌がいないということをちゃんと実証されたものをメニューとして出しています。

現状は、チルド調理ができる全国の食品会社と提携しており、専門で調理してもらっています。

はい、当社が管理栄養士と開発したメニューを各食品会社に送って商品化しています。
ゆくゆくは社内で調理してメニューを開発し、食品会社に頼らずに、製造やピッキング工程まで、すべてワンストップでできるようにしていきたいと思っています。もちろん食品会社とも共存は続けますが、社内でも作れる状態にしておきたいという思いがあります。


定番メニューとしては「トマトとデミグラスの煮込みハンバーグ」が人気があります。あとは、「大根や人参と季節野菜の3種のピクルス」が非常に人気です。これはお店で買ったら380~400円ぐらいするものだと自負しています。


じつは、100円というのは、食べるスタッフの皆さんにとっての値段で、クライアントの企業様にはトータルで400円ほどでご提供しています。企業様は、福利厚生費としてその差額を負担していただいているわけです。
従業員の皆様には基本的には100円で販売してくださいとお願いするわけですが、中には全品タダで提供されているような懐の深い会社様もあります。

ご飯は自宅から持参して、「牛すき焼き」などの一品100円で食事をすませる人もいます。
あとは、当社としては、「働く女性」にフォーカスを当てており、「ESキッチン」を活用することで、仕事後の夕食や朝のお弁当の支度を少しでも軽減して、ワークライフ・バランスを充実させてほしいと思っているんです。
夕飯のおかずとして1品、2品プラスして持ち帰っていただくことで、夕食の調理の手間を省くという活用の 仕方もされている方も多いですね。お子さんの夕食用や、一人暮らしの方の夜食用に持ち帰る方をいらっしゃいます。
また、夜勤がある業種の会社様も多いので、いつでも食べられる「ESキッチン」にメリットを感じていただけるようです。
保育園にも導入していきたい

幼稚園や保育園、学童保育施設などで働くスタッフの需要はあると思っています。お子さんのいる保育士さんも多いと思うので、育児補助としてご活用いただけると思います。

「ESキッチン」の総菜は、お子さんが食べられるように基本的に保存料を一切入れていないんです。身体に優しいということがコンセプトですから、働くパパ、ママが持ち帰っても、お子さんがうちの食事を安心して食べられるようなお惣菜を考えております。
お子さんにとってもすぐご飯が食べられて、身体にも良いという、まさに働くパパ、ママの非常に強い味方になれると思います。
やはり、「食の力」ってあると思うんです。僕自身も小さい頃はカギっ子で、昼食や夜ごはんは作り置きということが多かったのですが、「ESキッチン」はその代用になると思います。
お母さんがいなくてもインスタント食品ではなく、手作りのものを食べられる。当社の総菜は一切機械で作っておらず、すべて一個一個手作りしています。大手食品会社の機械による大量生産は、当社ではなかなかできません。一個一個手作りですから、じつは結構仕入れ価格も100円では収まらなくて、倍以上もいってしまうことがあります。

僕はもともと外食のコンサルタントの仕事をやっていたのですが、ビジネスモデルを考えるのが趣味で、今まで何百個と考えてきました。
いつか外食店を自分でやりたいという思いはもっていて、じつはもうすでに何店舗かやっているんです。食べることが好きで、食べ物をご提供するのも好きなので、そういったことの延長線上に「ESキッチン」もあると思います。

まだ始まったばかりですが、今後は法人向けサービスを深堀して広めていくと同時に、働いているスタッフのプライベートな食もサブスクリプションで提供していきたいと思っています。
たとえば、お客様個人専用のおかずが月30品お届けしたり、健康的なダイエット食の弁当をお届けしたりなど、個人にフォーカスした食の定期購買を作っていきたいです。
法人向けビジネスで考えていることは、「ESキッチン」の商品は納品時点で賞味期限が1か月以上ありますから、国内だけでなく海外にも展開できるということです。
海外に行くと、美味しくて安い日本のお惣菜を食べることはほぼ不可能ですから、日本の駐在員がいる海外の現地法人や、日本食が好きな海外企業などには、「ESキッチン」の需要があると考えており、海外展開も視野に入れています。

海外に駐在している方の「昼飯にサバの煮つけを食いたいな、でもこっちの和食は高いし、あんまりおいしくないんだよね」といった課題を解決できるのではないかと思っています。
輸出貿易の関係でどうなるかということをクリアするか、現地法人を作って現地で調理するということも考えています。
「ESキッチン」を通じて、日本の総菜を世界に発信していきたいですね。
社名 | エッサンスキッチン株式会社 |
所在地 | 群馬県北群馬郡吉岡町大久保582番地 |
電話番号 | 0279-25-8861 ファックス 0279-25-8862 |
代表者名 | 細野 烈 |
設立 | 2019年8月25日 |
資本金 | 3,000,000円 |
事業内容 | ESキッチンの運営(1品100円社食) ESおやつの運営 |
https://es-kitchen.biz/ |
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