小規模保育園ってどう? メリットとデメリット、向いている人

小規模保育園ってどう? メリットとデメリット、向いている人

保育園の中には、子どもの定員数が少なく、アットホームな雰囲気のところがあります。保育士向けの求人サイトにも近年そういった保育園の募集が掲載されているので、気になっている保育士さんも多いのではないでしょうか。
本記事では、転職を検討中の保育士さんのために、そのような「小規模保育園」のメリットとデメリット、そしてどんな人が小規模保育園に向いているかを解説します。

小規模保育って何?

本記事で解説する「小規模保育園」とは、0~2歳までの子どもを6〜19人ほど預かっている小さな保育園です。
これは正式には「小規模保育事業」と呼ばれるもので、平成27年4月から始まった子ども・子育て支援新制度の中で、市町村の認可事業(地域型保育事業)として新たに取り入れられた事業です。
小規模保育園はこぢんまりとしたアットホームな雰囲気が特徴で、保育士にもその和やかな環境の人気が高まっています。

小規模保育園にも種類が3つある

小規模保育園(正式には小規模保育事業)は主に3種類に分けられています。

  • A型小規模保育事業
  • B型小規模保育事業
  • C型小規模保育事業

それぞれの職員数、設備の条件などの違いをチェックしていきましょう。

種類 職員数 職員資格 設備・面積 給食
A型 保育所の配置基準+1名 保育士
※保育所と同様、保健師又は看護師の特例を設ける。
0歳・1歳児 1人当たり3.3㎡
2歳児 1人当たり1.98㎡
  • 自園調理(連携施設等からの搬入可)
  • 調理設備
  • 調理員
B型 保育所の配置基準+1名 1/2以上保育士
※保育所と同様、保健師又は看護師の特例を設ける。
※保育士以外には研修実施
0歳・1歳児 1人当たり3.3㎡
2歳児 1人当たり1.98㎡
  • 自園調理(連携施設等からの搬入可)
  • 調理設備
  • 調理員
C型 0~2歳児 3:1
(補助者を置く場合、5:2)
家庭的保育者
※市町村長が行う研修を修了した保育士、保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認める者
0歳~2歳児
いずれも1人3.3㎡
  • 自園調理(連携施設等からの搬入可)
  • 調理設備
  • 調理員

A型とB型の職員数は「保育所の配置基準」に加えて、1名の職員が追加されるので、保育士一人ひとりが付き添う子どもの人数は少なくなります。
B型とC型は、保育士資格がなくても研修や認定を受けた人なら勤めることができます。「保育士資格はないけど、小規模保育園で働きたい」という人にはおすすめです。

参考:「参考資料1 関係事業等の概要について」(厚生労働省)

小規模保育園での仕事内容は?

小規模保育園の仕事内容は、一般的な保育園と変わりません。

  • 子どもの受け入れ・見送り
  • 朝の会・帰りの会の実施
  • 主活動(製作、音楽、運動など)の準備・実施
  • 外遊び・散歩の援助
  • おやつ・食事の提供
  • 食事の援助
  • 排泄の援助やおむつ替え
  • 食事の援助
  • 保護者対応
  • 連絡帳や書類の記入
  • 片付け・掃除
  • おもちゃの消毒

小規模保育園の対象年齢は0~2歳なので、基本的に「教育」よりも「養護」が中心になります。

小規模保育園の給料

次に、小規模保育園での給料面について解説しましょう。

内閣府「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果」によると、小規模保育園A型・B型・C型の各月収(正社員・賞与込み)は次のとおりです。

有資格者の月収 無資格者の月収
A型 26万8,755円 23万5,183円
B型 26万9,617円 23万1,115円
C型 29万1,775円 25万0,117円
一般的な私立保育園 30万1,823円 22万3,584円

参考(出典):「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果(内閣府)

小規模である分、一般的な保育園と比べると、やはり給料は少ない傾向があります。
ただ、小規模保育園の中でもC型はやや給料が高めなので、給料面を重視する人はC型がおすすめです。

人気の理由はこれ! 小規模保育園のメリット

小規模保育園には、さまざまなメリットがあります。
その中でも、特に注目すべきメリットを3つピックアップしてみました。

  • イベントが少ない
  • 子ども一人ひとりとの関係が密
  • 保育士一人の仕事量が少ない

それぞれのメリットをみていきましょう。

小規模保育園のメリット①
イベントが少ない

小規模保育園のイベント
保育園にもよりますが、小規模保育園は大規模保育園よりも基本的にイベントが少なめです。
子どもの人数が少なく、職員の人数も少ないので、大がかりなイベントはあまり行われません。
誕生日会や夏祭り、クリスマス会などを開く小規模保育園もありますが、あまり大がかりなお遊戯会や運動会などは実施しないことがほとんどです。
保育士にとって、イベントの企画・運営・実施にはかなりの労力と時間をとられますから、それがないことは負担が少ないと言えます。

小規模保育園のメリット➁
子ども一人ひとりとの関係が密

小規模保育園の子どもとの関係子ども一人ひとりとの関係が密だということも、小規模保育園ならではのメリットです。
小規模保育園は子どもの人数が少ないので、当然、担当する子どもの人数も少なくなり、子ども一人ひとりと接する時間が増えます。
「子どもの個性を伸ばす保育や」「子ども一人ひとりの発達に合わせた保育」を目指す人には小規模保育園はおすすめです。

小規模保育園のメリット③
保育士一人の仕事量が少ない

小規模保育園は、子どもの人数が少ないので、保育士一人当たりの負担は一般的な保育園よりも軽いです。
子どもの人数が多い大規模な保育園はイベントも多く、保育士一人の仕事量は多くなりがちです。
小規模保育園はイベントが少ないたため、6~19人程度の子どもを何人かの保育士で対応するので仕事量が少なめなのです。
連絡帳や児童票など、子ども一人ひとりの配布物も少ないので、残業も少なく済む傾向があります。
仕事とプライベートを両立したい保育士さんにとってはうれしいメリットでしょう。

働きにくいってホント? 小規模保育園のデメリット

一方で、小規模保育園ならではのずデメリットも少なからずあるようです。

  • 大規模保育園よりも設備が整っていない
  • 2歳までの子どもとしか関われない
  • イベントが少ない分やりがいを感じにくい

それぞれのデメリットを踏まえたうえで、小規模保育園が自分に合うかどうかチェックしてみてください。

小規模保育園のデメリット①
大規模保育園よりも設備が整っていない

小規模保育園は大規模保育園に比べると設備が整っていないところがあります。
たとえば園庭がなかったり、敷地内に遊具がなかったり、おもちゃが少なかったり…。
子どもの人数が少ない分、保育室も狭いので、閉塞感を感じてしまう人もいるかもしれませんね。
「広くて整った環境でのびのびと保育がしたい!」という保育士には、小規模保育園はあまりおすすめできません。

小規模保育園のデメリット➁
2歳までの子どもとしか関われない

保育士によっては、0~2歳までの子どもとしか関われないということも、小規模保育園のデメリットになります。
通常の保育園の場合は0~5歳児までを預かりますので、幼児クラスでは少し難易度の高い製作や、ダンスや合奏などもあります。こうした教育的な活動を行うことにやりがいを感じる保育士も多いでしょう。
これに対して小規模保育園は子どもの年齢が低いため、「教育」よりも「養護」が中心になるので、物足りなさを感じる保育士もいるかもしれません。

小規模保育園のデメリット➁
イベントが少ない分やりがいを感じにくい

イベントが少ないのが小規模保育園のメリットだと書きましたが、これをデメリットに感じる保育士もいます。
イベントが少ないとたしかに保育士の負担も減りますが、その分、子どもの成長を感じる機会も減ってしまうと考える保育士もいるからです。
「こんなイベントやりたい!」という保育士は、やりがいを感じにくいかもしれません。

どんな保育士が小規模保育園に向いているの?

これまで書いたことをまとめると、小規模保育園に向いているのは次のような保育士と考えられます。

  • 乳児保育に興味がある保育士
  • 自分のペースで保育したい保育士

小規模保育園は赤ちゃんが好きな保育士に向いている小規模保育園は0~2歳の子どもを預かる場所ですから、「乳児保育」がメインです。「赤ちゃんが好き!」という人や、着替え・食事の援助、おむつ替えといった「子どもの身のまわりのお世話」が好きな人には向いているでしょう。

また、自分のペースで保育したい保育士も、小規模保育園に向いています。
小規模保育園は、大規模な保育園肉ラベルと、保育士一人ひとりの個性や保育観を尊重する傾向があります。自分の理想の保育を実現するにはぴったりの環境なのです。
「こんな保育をやってみたい!」という人は、ぜひ転職の視野に入れてみましょう。

小規模保育園のメリット・デメリットを踏まえたうえで転職しよう

小規模保育園は子ども一人ひとりとの距離が近く、仕事量も少ないというメリットがある一方で、「大規模保育園よりも設備が整っていない」「2歳児までの子どもとしか関われない」などのデメリットもあります。
ただし、アットホームな雰囲気で仕事したい人や、乳児保育に興味がある人、そして自分のペースで保育を進めたい人にはおすすめです。
転職を検討している保育士は、小規模保育園のメリット・デメリットを踏まえたうえで、自分に合った職場を見つけてくださいね。
 


参考:「参考資料1 関係事業等の概要について」(厚生労働省)

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