みんなが気になる保育士の有給取得率!なかなか休めない人へのアドバイス

みんなが気になる保育士の有給取得率 なかなか休めない人へのアドバイス

どこの保育園も深刻な人手不足で困っている昨今、「有給を消化したいけど、休みづらい…」とひそかに悩む保育士も少なくないのではないでしょうか?
今回は、保育士の有給取得率の気になる実態、そして休み方のコツを解説します。

有給休暇のことをきちんと知ろう

有給休暇制度とは

有給休暇制度は、きちんと法律で定められている労働者の権利です。
「一定期間、勤務を続けた労働者が心や体の疲れを回復できるように付与される休暇」のことであり、有給を取得しても賃金は減額されず、取得した場合は会社側が賃金を支給することが義務づけられています。

有給休暇の賃金

  • 労働基準法で定める平均賃金
  • 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
  • 健康保険法に定める標準報酬月額の30分の1に相当する金額

※雇用主は上記いずれかを支払う必要がある

有給休暇制度は正社員だけのものではありません。次項のような基準を満たせば、パートやアルバイト、派遣にも適用されます。

有給休暇を取得できる条件

有給休暇を取得するのに必要な条件は、次の2つだけです。

  • 半年間継続して雇われている
  • 全労働日の8割以上を出勤している

この条件を満たせば、最低10日の有給休暇が付与されます。
具体的な付与日数は次のような条件で決まります。

継続勤務年数と付与日数①

継続勤務年数(年) 付与日数(日)
0.5 10
1.5 11
2.5 12
3.5 14
4.5 16
5.5 18
6.5以上 20

継続勤務年数と付与日数②

週の労働日数が4日以下で、なおかつ週所定労働時間が30時間未満の場合
週所定
労働日数
4日 3日 2日 1日
1年間の
所定労働
日数
169~216日 121~168日 73~120日 48~72日
雇入れ日
から起算
した継続
勤務期間
(単位:年)
0.5 7 5 3 1
1.5 8 6 4 2
2.5 9 6 4 2
3.5 10 8 5 2
4.5 12 9 6 3
5.5 13 10 6 3
6.5以上 15 11 7 3

 
たとえば、「週の労働日数が4日以下」で、なおかつ「週所定労働時間が30時間未満」だと、「週5日勤務」の人よりも付与日数は少なくなります。
基準を満たす労働者なら誰でも有給休暇を取得する権利がありますが、その日数は、「正社員やパート、アルバイトなどの勤務形態によって変わる」と覚えておきましょう。

2019年に有給休暇取得が義務化された

近年、有給の消化の取り組みが強化されています。
労働基準法も2019年4月に改正され、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、最低年5日の年次有給休暇を取得させることをすべての企業に義務づけています。
ちなみに、労働者は自分で年次有給休暇を取得する時期を指定できます。
これを受けて、80%や100%の有給消化率を目標に掲げる会社もあります。

「保育士は有給消化できない」は本当?

さて、世間では有給消化の流れが加速しているにも関わらず、「保育士は有給が消化できない」という声も挙がっています。実態はどうなのでしょうか?

保育士の平均有給取得率

2016年の全国保育協議会の実態調査報告書によると、正社員やフルタイム勤務の保育士の有給休暇の平均取得日数(年間)は「3~6日」という回答が 31.3%と最も多く、次いで「7~9日」(28.8%)、「10~15日」(25.3%)という結果でした。


全体の3/4以上の回答が7日以上の有給を取得できたというものになっているので、「有給取得の義務(最低でも年5日を取得させる)」をクリアしている保育園のほうが多いことになります。
「保育士は休めない」というイメージを持たれがちですが、現場で工夫をして交代で休んでいる保育園が多いということでしょう。

保育士が有給消化できない理由

もちろん、有給が消化しづらい保育園も1/4以上あることも、上のグラフからは伺えます。
実際、「東京都保育士実態調査報告書(平成26年3月)」によると、職場の改善を希望することに「未消化(有給等)休暇の改善」を挙げた保育士が全体の31.5%に上りました。
そのような保育園で保育士が休みづらい代表的な理由を見てみましょう。

有給を取りにくい理由
人手不足だから

多くの保育園では人手不足が深刻です。
保育士の給料問題や労働環境などは近年改善されつつありますが、やはり離職率が高く、人の出入りが激しいのが現状です。
結婚や妊娠など、ライフスタイルの変化で退職する保育士も多いので、長期的に働く職員を確保することがなかなかできないのです。
しかも、保育士は児童福祉法にて人員配置数が定められているので、その基準を下回らないように、保育士をたくさん配置しなければなりません。
その結果、職員数が多くても人が足りず、なかなか休めないこともあるのでしょう。

有給を取りにくい理由
暗黙の了解となっているから

保育士は、数が多ければ多いほど現場が回りやすくなります。
そのため、人手が足りていても「できるだけ休まないで出勤すること」が暗黙の了解となっている保育園もあります。
「先輩が休んでいないのに、自分だけ休めない」
「周りが休まない中、休むのが怖い」
というふうに周りに気を遣いすぎて、有給を消化できずにいる保育士も少なくありません。

有給を取りにくい理由
イベント・行事が多いから

有給は労働者の権利です。自由なタイミングで消化しても、本来は問題はありません。
ただ、保育園の場合は、誕生日会や運動会、夏祭りやクリスマス会など、毎月のようにイベントや行事があるので、休むタイミングをつかみづらい面があります。
「休みたいけど、イベントの準備で休めない」
「自分が休んでいる間、ほかの人に負担がかかってしまう」
と思ってしまってなかなか休めない保育士も多いでしょう。
周りと協力して仕事をすることが多い、保育士ならではの悩みどころですね。

保育士が有給を消化するためには

最後に、保育士が有給を消化するためのポイントについて考えてみましょう。
それは、「タイミング」と「環境」です。
なかなか有給を消化できずに悩んでいる保育士のためには、次のようなアドバイスがあります。

有給はタイミングを見て
繁忙期を避けて長期休み中に休む

有給は、繁忙期をは避けたほうがを消化しやすいでしょう。
運動会やお遊戯会などのイベントや行事、またその準備がある時期は、どの保育士も忙しいからです。
繁忙期に休むと周りの保育士に負担がかかってしまうので、イベントや行事と被っていない時期に休むほうが気を使わないでしょう。
中でも、ゴールデンウィークや夏休みなどの長期休みはねらい目です。
長期休み中も開園している保育園もありますが、長期休み中は登園する子どもの数が少ないので、少ない人数で現場を回せます。
交代制で休むことを提案すれば、ほかの保育士も効率よく有給を消化できるでしょう。

有給は環境を選んで
職員数が多い職場を選ぶ

これから保育園に就職する人は、できるだけ職員数が多い職場を選ぶと有休を取得しやすいでしょう。
国の職員配置基準を十分に満たしており、なおかつ正社員やパート、アルバイトの全体人数が多い職場は、休んでも現場が回りやすくなっています。
また、働く世代の幅が広い現場は、働きやすい労働環境が整っている可能性が高いと言えます。

いっそのこと
休みが取りやすい保育園に転職する

今働いている保育園ではなかなか有給を消化できないのなら、転職も視野に入れてもいいかもしれません。
「有給消化率90%!」という目標や実績を掲げている保育園、職員数が多い保育園なら、有給を消化しやすいはずです。
通常の有給休暇とは別に「生理休暇」や「誕生日休暇」、「家族休暇」などを設けている保育園もおすすめです。

働きやすい保育園で有休を消化してプライベートな時間を満喫しよう!

有給休暇は、労働者に与えられた権利です。
周りの保育士と相談しながら、繁忙期を避けて休んだり、できるだけ長期期間中に休んだりするのがポイントです。
どうしても有給が消化しづらい場合は、有給消化率が高い保育園へ転職するのも選択肢の1つです。
有給消化推進につとめている保育園へ転職して、プライベートな時間を満喫しましょう。
 


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