保育園に導入するICTシステムの選び方!導入の流れや注意点も紹介

保育園に導入するICTシステムの選び方!導入の流れや注意点も紹介

前回の記事でもお伝えしたように、近年、保育園でICTシステムの導入が増えています。ただ、たくさんの種類があるので、これから導入を検討される園では、どれを導入するべきか迷ってしまうことでしょう。そこで今回は、保育園に導入するICTシステムの選び方を紹介します。導入の流れや注意点も解説しますので、参考になさってください。

保育園のICTシステムとは?

保育園で導入されるICTシステムとは、スマートフォンやタブレット、PCなどを活用して情報共有やコミュニケーションを行うシステムです。
近年は、厚生労働省では、保育士の業務負担の軽減につながるとして保育園にICTシステムの導入を促しており、導入保育園も増えつつあります。

保育士の業務を効率化するシステム

保育園で導入されているICTシステムには、保育士の業務を効率化するような便利な機能が備わっています。

年案、月案、月案、週案、保育日誌、事故・ヒヤリハット報告書などの書類をシステム上で作成できる

保育園のICTシステムの機能 機能の内容
登降記録・出欠管理 子どもの登園や降園の時間をスマートフォンやタブレット、タッチパネルを操作して記録できる
連絡帳 連絡帳の記入をスマートフォンやタブレットで完結し、オンライン上で保護者と共有できる
おたより・お知らせの配信 おたよりやお知らせをオンライン上で作成・配信できる
園児の情報管理 子どもの基本情報に加え、検温、排便、お昼寝などの情報、児童票も管理できる
勤怠・シフト管理
  • 職員の出退勤の記録を管理できる
  • 職員が専用画面からシフト希望を登録すると、シフト表に自動で反映される
書類の作成
請求管理 月の保育料、延長保育料、個別請求の金額を自動計算する

こうした機能によって業務が効率化し、保育士が本来の仕事に集中できるようになり、保育の質が向上します。
また、保育士間・保育士と保護者間で情報をオンライン共有できるので、情報の共有漏れが減ります。
そのほか、ICTシステムのメリットについて知りたい人は、前回の記事をチェックしてみてください。

ICT導入は保育士にも保護者にもメリット!

 

ICTシステムの相場は月額5000~1万円

保育園のICTシステムにかかる費用は月額5000~1万円ほどが相場です。

もちろん、システムの種類や契約プランによって利用料金は前後します。基本的な機能のみのプランの場合は、月額5000~7000円程度ですが、機能が豊富なプランや利用人数が多い場合は、月額2~3万円程度になることもあります。
中には無料トライアルキャンペーンを実施しているベンダーもあるので、まずは試しに使ってみて機能性と料金、使い勝手を踏まえた上で導入を検討するのがおすすめです。

保育園のICTシステムの導入の流れ

保育園のICTシステムを導入する流れを解説します。

ICTシステムの導入ステップ
予算確保・体制整備

まずは、ICTシステムを導入する前に予算を確保します。
システムの利用料金や端末代、通信費などの費用をあらかじめ計算して、予算に合うシステムを探します。
導入するシステムが決まったら、インターネット回線の整備やWi-Fi環境の構築など、通信環境を整えましょう。
また、管理用パソコンやタブレット端末(登降園記録をする場合)などの準備も必要です。

ICTシステムの導入ステップ
ICTシステムのテスト導入

ICTシステムを利用できる環境が整ったら、システムをテスト導入します。
アカウントを作成して管理画面にログインできるように設定して、登録テストや動作テストを実施します。
テスト期間はシステムによって異なりますが、数週間~1ヶ月程度です。
システムの導入の際は、ICTシステムの担当者が説明とサポートを行うので、安心してテスト運用をスタートできるでしょう。

ICTシステムの導入ステップ
本格導入

ICTシステムのテスト運用後、問題がなければ本格導入がスタートします。
ただ、これまで紙で作成していた書類をデジタル化したり、使い慣れたりするまでに 数カ月かかるとされています。
そんなときは、導入効果の振り返りやサポートセンターへの相談などを通じて、ICTを快適に使いこなし、効果を高めましょう。

保育園に導入するICTシステムの選び方

保育園に導入するICTシステムを選ぶときのポイントをまとめてみました。

  • 保育園に必要な機能が備わっているか
  • 補助金に対応しているか
  • セキュリティは万全か
  • スマートフォンに対応しているか
  • 保護者にとって使いやすいか

それぞれのポイントを押さえて、自園に合ったシステムを導入しましょう。

ICTシステムの選定ポイント
必要な機能が備わっているか

ICTシステムを選ぶときは、まず機能をチェックしましょう。
登降記録機能や連絡帳機能、シフト管理機能など、ICTシステムにはたくさんの便利な機能が備わっています。
ただ、保育園によって必要とする機能はそれぞれ異なります。
例えば、午睡チェック機能だけではなく、検食簿の記入・管理機能がほしい場合もあるでしょう。
園バスを運用している保育園であれば、園バス位置情報の管理機能があると便利です。
ICTシステムによって保有している機能の種類や数は異なるので、選ぶときは自園に必要な機能が備わっているかを確認しましょう。

ICTシステムの選定ポイント
補助金に対応しているか

国や自治体は、保育園の業務省力化を目的としたICTシステムの導入にかかる費用の一部を助成する補助金制度を整備しています。
例えば、厚生労働省は「保育所等におけるICT化推進等事業」にて、ICT化にあたっての補助基準額を1施設 100万円と定めています。
また、東京都保健福祉局の「保育所等におけるデジタル化推進事業」の補助基準額は、1施設200万円です。
ただ、ICTシステムによって申請できる補助金が異なるほか、保育園がある自治体によって受けられる補助も違ってきます。
ICTシステム導入前に、どんな補助を受けられるのか確認をしておきましょう。

参考
厚生労働省 保育所等におけるICT化推進等事業
東京都保健福祉局 保育所等におけるデジタル化推進事業

ICTシステムの選定ポイント
セキュリティ対策は万全か

ICTシステムでは、園児の個人情報や家庭の情報など、大切なデータを管理することになります。
万が一、情報漏洩といったトラブルが発生すれば、保育園の信用を失いかねません。
こうしたリスクを避けるためにも、セキュリティ対策をしっかりと施したICTシステムを選びましょう。
具体的には、データ通信の暗号化、IPアドレスのアクセス制限、外部監査機関による審査などの対策を行っているかどうかがポイントです。
また、信頼性の高いセキュリティプラットフォームを採用している、国際規格レベル「ISO/IEC 27001取得」などを取得しているICTシステムもおすすめです。

ICTシステムの選定ポイント
スマートフォンに対応しているか

手軽さを求めるなら、スマートフォンに対応しているICTシステムを選びましょう。
PCかタブレット端末にしか対応していないICTシステムの場合、職員間や保護者間でPCやタブレット端末を使いまわし、「誰かが使っている間はシステムを利用できない」といったこともあります。
スマートフォンに対応しているICTシステムなら、職員や保護者が自身のスマートフォンからシステムをスムーズに利用できるほか、端末代をカットできます。

ICTシステムの選定ポイント
保護者にとって使いやすいか

ICTシステムは保育士だけではなく保護者も使うものなので、「保護者にとって使いやすいか」も重要なポイントです。
システムの仕様や操作がわかりやすいものを選びましょう。

保育園でICTシステムをスムーズに導入するコツ

最後に、保育園でICTシステムをスムーズに導入するためのコツを解説します。

ICTシステム導入のコツ
園長・主任がシステムをきちんと理解する

保育現場で働く若い保育士はICTシステムへの抵抗が少なく、操作の習得スピードが速いでしょう。
しかし、主任や園長などの管理職クラスの職員の中には、タブレットやスマートフォンでの操作に馴染がない人が多く、ICTシステムの管理や運用を現場の若い保育士に任せっきりにしてしまうというケースもあります。
ICTシステムの管理や運用が属人化すると、万が一のトラブルの際に主任や園長が適切に対処できない可能性もあるため、まずは園長・主任がシステムをきちんと理解することが大切です。

ICTシステム導入のコツ
保護者に説明する場を設ける

ICTシステムを保育園に導入する際は、保護者に説明する場を設けましょう。
保護者の中には、ICTシステムに対しての知見がなく、導入に不安を抱く人も少なくありません。
事前に、どういったシステムを導入するのか、どんなメリットがあるのかといった点や、セキュリティ対策や利用のルールについて説明しておくことで、保護者の不安を取り除くことができます。

保育園に合ったICTを選ぼう!

ICTシステムには、登降記録機能や連絡帳機能、シフト管理機能など、便利な機能がたくさん備わっています。
ただ、ICTシステムによって保有している機能の種類や数は異なるので、選ぶときは自園に必要な機能が備わっているかを確認しましょう。
また、補助金に対応しているか、セキュリティ対策は万全かといったことをチェックするのも大切です。
今回紹介した内容を参考にして、保育園に合ったICTを選んでみてくださいね。

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