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保育園の働き方改革について

保育園の働き方改革について

今、一般企業では働き方改革が課題になっています。
高齢化によって働き手が少なくなり、ワークライフ・バランスを大事にしながら、個々の生産性を高めていくために、さまざまな取り組みがなされています。
保育の現場も無縁ではありません。
保育園の仕事は長時間労働で、持ち帰り残業を余儀なくされている保育士もたくさんいます。子どもと関わることは楽しくやりがいにあふれていても、その気持ちだけで保育の仕事を続けていくのは難しいでしょうx。給与と仕事が見合っていない、自宅でも仕事から解放されない、と働き方を改善したい保育士がたくさんいます。
今回は、保育園の働き方を改革するために必要なことは何か、ということについて考えていきましょう。

保育の仕事で最重要なのは「時間の確保」

保育という仕事は、日々子どもたちと関わりながら、あらゆる業務を同時並行でこなしていく必要があります。
たとえば、書類作成、行事で使うものや壁面などの製作、保育室や共有スペースの掃除、業務の報連相などなど。
どの仕事も、日々の保育業務として必要なことです。
保育園勤務には早番、遅番がありますが、基本的にはいつも子どもたちが園内にいる中で、すべての仕事をこなし、明日の保育について準備しなければなりません。
運営費の関係上、余剰人員を抱えることが難しいのも保育園の特徴です。
そのため、大人だけで話す時間を持つだけでも、ひと工夫が必要になります。

陥りやすいのは「終わりのない仕事」

保育士の仕事は、保育の専門家として子どもと日々過ごし、成長を支えるために、保護者をはじめ様々な人と協力することで成り立っています。
1年間、ほぼ毎日を子どもたちと一緒に過ごし、成長発達を間近で見ることになるため、「もっとこうしたい」「子どもたちが可愛くてたまらない」「私がやらなくては」といった感情を持ちがちです。でも、一つひとつのことにこだわるほど、業務以上の仕事を抱えてしまうことになり、仕事に終わりがなくなります。
働き方を改革するために、保育の仕事と保育士が持ちやすい感情を理解した上で、課題を個人・組織・社会に分けて整理してみましょう。

保育士ができること・すべきこと

まず、個々の保育士にはどんな課題があるでしょうか。

保育士は、園内で業務改善の必要性に気づいていてもそれを提案することがなかなかできません。人間関係が固定しているため、「言ってしまうと園内で仕事をしづらくなる」「言ってもいいが、変えることまで考えると気が遠くなる」と感じている人も多いはずです。

また、働き方を変えるためには、保育士自身が効率を上げることが必要です。
園に入った後に仕事の仕方を学んだり、効率化について話し合ったりする機会が足りていない保育士も多いでしょう。自分のやり方以外の効率的な方法を習得する機会が足りていないのです。
働き方を変えるには、「諦めどころ」を自分で決めることも必要になります。「子どもたちのためにもっと……」「隣のクラスに負けないように……」という意識は、仕事の終わりを遠いものにしてしまいます。

とくに、組織的に保育を行うことを理解し、自分一人で抱えないための工夫が不可欠です。
「クラスで起きたことはすべて担任の責任」という園では、失敗や課題を共有することができず、同じ問題が繰り返し起こります。個人で解決すべきことと、組織として対応すべきことを整理するには、習慣的な報告が必要です。

日常の仕事の中で時間を見つけ、短時間で作業できる工夫をしましょう。
たとえば掃除を効率化し、ほんんお10分でも時間を短縮して、月案の素案を書いたり、会議が始まるまでのほんの5分の間でも計画に目を通しておく。
そうした隙間時間を効率的に使うためには、それができる環境も重要です。その結果、クラスの環境を整えておくことにもつながります。

組織として取り組まなければならないこと

次に、保育園という組織にはどんな課題があるかを考えてみます。
保育園とは、大小を問わず、「組織」的に子どもを育んでいく児童福祉施設です。
したがって、一部の保育士だけで園の仕組みや方向性を決めるのではなく、園長、主任保育士、ミドルリーダー、専門リーダー、担任などが、それぞれの役割の中で見えている課題や改善策を持ち寄り、より良い方法を探っていくべきです。

働き方改革では、働き方の多様化がクローズアップされています。保育の現場でも、一般の企業と同じように、パート、非常勤、正規職員といった様々な働き方をする人がいます。そうした多様化を前提に「同一労働、同一賃金」で、仕事の分担と役割の明確化を図りましょう。

保育園という場所は机や椅子、ロッカーなどほとんどの家具が子ども向けに作られていることもあり、保育士がホッとする時間や空間を持ちにくいようになっています。作業効率を上げるためには、ちょっとした息抜きや解放、リラックスは不可欠です。大人にとって落ち着ける空間づくりも、組織として取り組むべき課題のひとつです。

報連相を確実にできる環境を整えることも、組織としての課題です。
お迎えの時間や、発熱などの有無、忘れ物など、保育中に伝えるべき連絡の大半は、たとえばホワイトボードなどに記入しておけば、伝達ミスや伝え忘れを防ぐことができます。ただし重要な報告や相談は子どもがいない場所で行いましょう。そのための時間や空間の確保も、課題のひとつです。

園長には資格要件がないため、できることや求められている役割が曖昧です。どんな仕事をしているかを知らない現場保育士も多いのではないでしょうか。園長は業務内容を明確にし、主任保育士や看護師、事務など分担が可能な役職者と協力して、業務改善を行うよう努めましょう。

ICT化による業務効率化も、組織としての課題です。デジタルになじみのない保育士も多く、感情的に反対されることもありますので、何のためにデジタル化するのか、どんな効果が生まれるのか、子どもにとってどんなプラスがあるかという認識を共有することが必要です。

保育士が必要なスキルを身に着ける研修や適正な評価も、組織としての課題になります。
園としての保育力を上げるには、少数のスーパーマンを育てるより、全員が力を合わせることの方が有効です。職員の個性やスキルをしっかりと捉え、対話しながら、それぞれのキャリアアップを図っていくことも組織の務めです。

保育園の働き方を改革するには

保育園における最大の課題は、保育士が不足している現状です。
慢性的な人手不足が続き、保育士たちは必要以上に忙しくなり、不満や不安の声が現場で高まっています。
こうした現状は個々の園の努力だけでは限界があります。潜在保育士の就業率を向上させたり、将来の保育の担い手となる中高生に効果的にアプローチしたりすることが、行政主導で行われなければなりません。
医療・福祉業界のように、ソーシャルワーカーなどの専門家を配置して、子育て支援や医療的ケア児への対応なども求められるようになります。多くの方が求められるようになりました。保育士がホスピタリティを向上させるだけでは難しい課題です。
同時に園長の資格要件を定めることも必要です。保育士も園長も働きやすい環境を整えることが社会的な課題と言えます。

子どもと向き合う保育士、その保育士を現場でマネジメントしていく園長のそれぞれが互いに役割を尊重し合い、自分の仕事を高めていくことが、保育園の働き方を改革することにつながっていくでしょう。

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