保育園M&Aの最新動向と主要事業者一覧

保育園M&Aの最新動向と主要事業者一覧

少子化が進み、保育士が不足し、園長先生の高齢化が目立ち、さらには行政の制度も次々と変わるなど、今の保育園業界は大きな転換期に立たされています。そうした状況を受けて、「M&A(企業の合併・買収)」という選択肢が保育園の経営者から注目されています。「自分が長年大切にしてきた園を次の世代に安心して託したい」「もっと規模を広げて、たくさんの子どもたちの成長を支えたい」といった前向きな思いを形にする手段として現実的な選択肢と言えるでしょう。
この記事では、保育園M&Aの「今」をできるだけわかりやすくお伝えしつつ、「この会社なら安心して相談できそう」と思えるM&A支援主要事業者をご紹介していきます。

保育園M&Aの最新動向

ここ数年、保育園業界ではM&A(合併・買収)の波が静かに、でも確実に広がっています。その背景には何があるのでしょうか。経営者として押さえておきたいトレンドをご紹介します。

意外な業界からの参入も

かつての「保育園建設ラッシュ」はひと段落。今や業界は成熟期に入っています。待機児童も減少傾向にあり、ある地域では保育施設が飽和状態に。そのため、「新しく園を作る」よりも「今ある園を買収する」という選択をする法人が増えています。
複数の保育園を運営する法人による買収も目立ってきました。人材やノウハウを一つにまとめることで、経営の安定性が高まり、結果的に子どもたちや保護者へのサービス向上につながっています。実際に統合後に保育内容が充実したケースも増えています。
不動産会社や医療法人、学習塾経営者、さらにはIT企業までも、保育園業界に関心を寄せています。異業種からの参入により、保育のICT化や施設管理の効率化など、新しい風が吹き始めています。

取引価格はどれくらい?

「子どもは別の道に進み、自分の歳も気になるけど、この園をどうしよう」といった悩みを抱える保育園経営者は少なくありません。M&Aは単なる「売却」ではなく、長年築いてきた園の理念や保育スタイルを引き継いでもらうパートナー探しという面もあります。
また、M&Aの大きなメリットの一つが、今働いている保育士さんたちの雇用をそのまま継続できること。人材確保が難しい時代だからこそ、チームごと引き継げる点は大きな魅力です。実際、買収後も9割以上のスタッフが残るケースが多いようです。
一番気になるの取引価格だと思いますが、正直なところ、これは千差万別です。都心の認可保育園なら数千万円以上が当たり前ですが、地方の小規模園や認可外施設では条件によって大きく変わります。立地、定員、収益性、自治体との関係…すべてが評価ポイントになります。

保育園M&Aを扱う主要事業者

「M&Aを考えてみたいけど、いったい誰に相談すればいいのだろうか?」
最初につまずくのがこの壁ではないでしょうか。保護者や職員との関係、地域からの信頼、そして何より大切にしてきた保育の理念—これらを守りながら事業を引き継ぐには、しっかり業界事情を理解したパートナーが必要です。
ここからは、実績や専門性、対応力といった視点から、保育園M&Aに強い事業者をピックアップしました。

コーポレート・アドバイザーズM&A

コーポレート・アドバイザーズ
保育園や幼稚園などに特化したM&A仲介会社です。
他業種も扱う大手ですが、保育分野での実績も豊富。特に、行政手続きのサポートや引継ぎ支援、保護者向け説明会の開催協力など、保育特有の細かい配慮が求められる場面で頼りになります。
「理念の継承」と「職員の雇用維持」へのこだわりといった条件にマッチする買い手を見つけてくれます。
また、M&A成立後の「PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)」と呼ばれる統合作業のサポートも手厚いのが特徴。譲渡後の運営体制づくりや業務マニュアルの整備、保護者向け案内文書の作成まで、一括でお願いできます。

こんな場合におすすめ

  • 行政とのやりとりが不安
  • 保育理念を守りながら譲渡したい
  • 職員や保護者との信頼関係も維持したい

TRANBI(トランビ)


オンラインでM&A相手を探せる国内最大級のプラットフォームです。
売り手と買い手が直接やりとりする「マッチング型」で、保育園案件もかなり掲載されています。手数料が比較的安く済み、全国から買い手を広く募れるのが魅力。都会だけでなく、地方の園でも成約例が出てきています。
自分のペースで進められる自由度は高いですが、交渉や契約については専門知識が必要な場面もあるので、税理士さんのような専門家にサポートしてもらえると安心して利用できるかもしれません。
有料プランでは、園名や法人名を伏せた非公開募集ができたり、実名を明かす前にチャットでやりとりできたりと、初めてM&Aを検討する方への配慮も感じられます。

こんな場合におすすめ

  • 自分で交渉し、手数料を抑えたい
  • 地方の保育園で広く買い手を探したい
  • 段階的に進めながら様子を見たい

M&A総合研究所


AIと人間のハイブリッドでスピード成約を実現する仲介会社です。
保育園を含む医療・福祉分野に力を入れており、専門知識を持ったスタッフが地域や規模を問わず対応してくれます。自動マッチング技術と交渉のプロによるサポートで、最短1ヶ月での譲渡成立実績もあるそうです。
完全成功報酬制を採用しているので、最初にお金がかかることはありません。「本当に売却するかはまだ決めてないけど、話だけ聞いてみたい」という方でも気軽に相談できます。
現場の先生方への説明や事前合意のとり方など、保育園特有の手続きについても知見があり、トラブルを未然に防ぐノウハウを有しているようです。

こんな場合におすすめ

  • スピードを重視している
  • 費用リスクを抑えて進めたい
  • 確実なマッチング力とサポート力を求める

インテグループ


小規模保育園や地域密着型施設のM&Aに強みを持つ仲介会社です。
東京や大阪、福岡などの大都市に拠点がありますが、地方の案件にも柔軟に対応してもらえます。保育業界の事情を熟知したアドバイザーが、オーナーの希望を丁寧に聞いた上で、信頼できる買い手を紹介してくれます。
「うちは1園だけだから…」「スタッフも少ないけど…」「地域との関わりを大切にしてきたから…」など、大手では扱いづらいケースでも親身になってくれることが特徴です。
また、外部に知られたくない案件も多く手がけているので、情報管理を重視する園にとっても頼りになる存在といえるでしょう。

こんな場合におすすめ

  • 1園単位でのM&Aを考えている
  • 地方や小規模の案件でも親身に相談したい
  • 譲渡を慎重に進めたい

ストライク

ストライク
東証プライム上場企業による安定感のあるM&A仲介サービスです。
大企業ならではの信頼性と全国ネットワークを活かし、主に中〜大型の保育園譲渡案件を取り扱っています。福祉法人や教育関連企業、不動産会社など多様な買い手候補を持っており、将来の成長も見据えたM&A提案が強みです。
社内に法務・税務・財務の専門家がいるので、契約からクロージングまでワンストップでサポートしてもらえます。複雑な手続きも安心して任せられるので心強いでしょう。

こんな場合におすすめ

  • 大規模な譲渡を検討している
  • 法人格を超えた事業再編を考えている
  • 上場企業の信頼感を求める

BATONZ(バトンズ)

BATONZ
保育園も含めたあらゆる業種に対応するオンラインM&Aマッチングサイトです。
保育園の案件数も年々増えていて、個人経営の小さな園から中規模法人までカバー。オンラインで匿名のまま買い手と交渉でき、査定から仲介まで自社内で完結できるのが魅力です。
行政関連の書類取り扱いや、実際に保育施設での運営経験があるアドバイザーのサポートも受けられるので安心。登録は無料で、必要に応じてオプションで専門家のアドバイスを追加できる柔軟さもあります。

こんな場合におすすめ

  • 買い手との接点を増やしたい
  • 最初はオンラインで気軽に情報収集したい
  • コストを抑えつつ相談したい

保育M&A支援センター

保育M&A支援センター
保育園専門のM&A支援を掲げるプラットフォームです。
保育事業に特化した視点で、無料査定や買い手探し、譲渡後の引継ぎ計画まで一貫してサポートしてくれます。保育の現場を知る担当者が対応してくれるので、保護者や職員への配慮を重視した移行プランを立ててくれるのが特徴です。
相談者の多くが「まだ迷っている段階」からスタートするので、M&A初心者にもわかりやすく説明してくれる点も好評です。

こんな場合におすすめ

  • M&Aを具体的に考え始めたばかり
  • まずは価値を知りたい、無料で相談したい
  • 現場理解のあるパートナーを求めている

保育園M&A.com(gf.T株式会社)

保育園M&A.com
実際に保育園経営の経験者が立ち上げたM&A仲介サービスです。
他社とはひと味違う「現場目線」のサポートが強みで、数字だけでは語れない保育園特有の事情にも深い理解があります。先生たちの雇用継続や子どもたちの受入体制、地域との関わりなど、表面的な数字では見えない課題にも親身に対応してくれます。
こちらも完全成功報酬制で、初回相談から査定、提案までは無料。オンライン面談も柔軟に設定してくれるので、現場から離れにくい園長先生でも進めやすいでしょう。

こんな場合におすすめ

  • 保育園のリアルな現場事情を理解してほしい
  • 保育士の働き方や園運営方針も引き継いでほしい
  • 信頼できるパートナーに任せたい方

保育専門 M&Aセンター(株式会社リ・アドバンス)

保育専門M&Aセンター
保育園M&Aに完全特化した支援体制を持つ専門機関です。
匿名性を重視する案件や、諸事情により公にできないM&Aを慎重に進めたい方向けに、厳格な秘密保持契約の運用や買い手の審査などを徹底しています。保育士の雇用契約や設備の引継ぎ、各種認可関連の手続きといった行政的な側面にも詳しいのが特徴です。
また、M&A後のリブランディングや組織の立て直しなど、売却後の園の成長支援にも力を入れているので、ただ譲渡して終わりではない「未来を見据えた」M&Aを実現できます。

こんな場合におすすめ

  • センシティブな事情で公にできないM&Aを進めたい
  • 買い手の質を重視したマッチングを希望する
  • 将来の園運営を見据えて丁寧に進めたい

事業者比較一覧表

最後に、上記10社を一覧表にまとめておきます。

事業者名 専門性 サービス形態 料金体系 主な対象 特徴
コーポレート・アドバイザーズ 仲介(フルサポート) 成功報酬型 法人向け 保育園特化、行政対応にも強い
TRANBI(トランビ) プラットフォーム 月額会費/無料成約 個人・法人 自由交渉型、掲載案件多数
M&A総合研究所 仲介(専門チーム) 完全成功報酬 全国対応法人 スピード対応、保育専門部署あり
インテグループ 仲介 完全成功報酬 小規模法人 地域密着、小規模案件対応
ストライク 仲介(上場企業) 成功報酬型 中~大型法人 大手との提携に強みあり
BATONZ プラットフォーム 無料登録 幅広い層 柔軟なマッチング、案件数豊富
保育M&A支援センター プラットフォーム 査定無料/成功報酬型 検討中の法人 保育専門サイト、相談に特化
保育園M&A.com 仲介 完全成功報酬 小中規模園 保育業界経験者による運営
保育専門M&Aセンター 仲介 要相談 機密案件など 専門性と配慮に定評あり

経営戦略としてのM&Aという選択肢

保育園のM&Aは、経営戦略としても、次世代への事業承継手段としても、とても有効な選択肢です。ただ、保育という仕事は子どもたちや保護者、地域社会との絆が深い特別な業種。だからこそ、慎重さも必要です。
信頼できる仲介会社やプラットフォームと組むことで、これまで大切にしてきた園の理念を守りながら、次の世代へとバトンをつなぐM&Aが実現できます。まずは気になる会社に一度相談してみて、自分の園に合った形で進めてみてはいかがでしょうか。
M&Aの道のりは簡単ではないかもしれません。でも、これまで育ててきた園の未来と、そこで過ごす子どもたちの笑顔のために、一歩を踏み出す勇気を持つことが、今の保育園経営者に求められているのかもしれませんね。
 

保育園M&Aの最新動向と主要事業者一覧
こちらの記事もどうぞ